「食の安全」はいつも難しい。その地方の暮らしに根ざした食文化が、他者から見れば危険に見えることもある。だがある地域特有のものを中途半端な知見で外に持ちだし、事故を起こした結果、本来かけられるべきではないところにまで網がかけられてしまうのはどうか。それは不幸なことであり、地元にとっては迷惑ですらある。
最近はさまざまな旗が立ち、全国のご当地グルメが味わえる催事が行われるようになった。だがそうした祭りでは、本当の郷土食にはありつけない。言うまでもなく、一目見て危険だとわかるレベルのものを提供する飲食店は論外の外である。
鹿児島出身者に例の騒動について聞いた。「パッと見て、わからんかなぁ…」と呆れた様子。
南九州の人たちが食中毒菌に強いかはさておき、一定の目利き力は持っているのだ。なじみのない食を軽んじてはならない。