12日午後1時25分、「世界のニナガワ」は家族に見守られながら、この世を去った。享年80。死因は肺炎による多臓器不全だった。

 最期の病室──。最後の10日間ぐらいは「ありがとう」という言葉しか言わなかったという蜷川さんが臨終の床で残した言葉は、「真山は?」という妻への呼びかけだった。妻・蜷川宏子さん(75才)は、結婚前、「真山知子」という名前で女優として活動していた。日常生活はもういいんだ、結局、おれは劇場でしか生きられない──そう常々語っていた生涯現役の蜷川さんは、妻の宏子さんを最期まで「女優・真山知子」の名前で呼び続けていた。

 父を看取った娘の実花さんはその日、ペイズリー柄のワンピースに、ゴールドの大ぶりなネックレス、ビビッドピンクのパンプス姿で病院を後にした。茶色い大きなサングラスは、目に滲む熱いものを隠していた。

 16日、東京・青山葬儀所で営まれた葬儀では、蜷川さんと舞台で闘い続けてきた5人の俳優が弔辞を述べた。

「輝かしい思い出の日々のはずなのに、怒られたことばっかりが出てきます。本当にお前みたいな不感症とは二度と仕事したくない。下手くそ。単細胞。変態。はぁー、きみおじさんになったね、なんかデブじゃない? デブだよ、デブ」(小栗旬・33才)

「バカヤロー!」を連発し、灰皿やイスを投げつけるという厳しさでも知られた“怒れる演出家”蜷川さん。15才の藤原竜也に「犬とやってこい!」と、それぐらいの経験をしてこいという意味で怒鳴ったこともあったという。それが役者たちを成長させるための優しさであり愛情であることを実感するがゆえに、大勢の役者が蜷川さんとの別れを惜しんだ。

※女性セブン2016年6月2日号

関連記事

トピックス

大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン