ビジネス

世界中の一流ブランドを虜にする生地を使った超軽量ストール

天池合繊のシャンブレープリーツストール「天女の羽衣」(2万520円)

 オーガンジーというのは、平織で薄手、軽く透けている上質な生地のことだが、その軽やかさで、世界中の一流ブランドを虜にしているポリエステルオーガンジーがある。それが、今回紹介するストールの「天女の羽衣」(2万520円)。作っているのは、古くから繊維産業が盛んな石川県七尾市にある「天池合繊」だ。

 触れていないかのような軽さの天女の羽衣は、織りや染め、縫製など、すべて能登の自社工場で生産する“made in Japan”。独特の透明感と光沢は、その名の“羽衣”のように幻想的だ。透明感のあるプリントやグラデーションカラー、立体的なプリーツ加工、ポコポコ手絞りストールなど種類も豊富。また、手描き加賀友禅や加賀繍などの、伝統工芸とのコラボも行っている。

 開発のきっかけは、海外製品との価格競争に押されて危機感を募らせるなか、あるメーカーから7デニール、髪の毛の5分の1ほどしかない超極細糸が持ち込まれたことによる。社長の天池源受さんは、こう振り返る。

「蜘蛛の糸のように細くて、通常の織機で織ろうとすると、かなり弱い衝撃でもすぐに切れてしまう。だから無理だと思いましたが、そんな時、これが織れれば一流企業になれるという夢を見たんです」

 そして、顕微鏡で織り目を確かめながら、ベテラン職人とともにアイディアを練り、織機の改造開発に取り組んだ。

 織物に仕立てることに成功してからも、生地が薄すぎて染色はできないと、多くの染色加工会社に断られ、染色設備を自社で開発。多額の借金をして約2年半かけ、ようやく製品化にこぎつけた。

 できあがったのは、1平米あたりわずか10gしかない、世界最軽量の生地。これが開発直後の2005年にブライダルファッションデザイナーの桂由美さんの目にとまり、販路は世界へ。現在はパリコレなどに参加するトップメゾンで採用されるなど、世界中で愛される生地になった。一般の人が手に取りやすいスカーフなどは2010年から販売している。

「あまりの薄さに、破れやすいのでは?とよく聞かれます。たしかに摩擦やひっかけには弱いですが、糸が細い分、密度を高めて織り上げているので、シルクオーガンジーより強度はあります。だから、自宅で洗濯もできますよ」(天池さん)

※女性セブン2016年6月9・16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン