「弱さを認めないと、俳優をやっていられない。そう思うんです。普段の生活では、自分の中の醜さや弱さに対してうまく蓋をしたり、折り合いをつけたりしているだけ。僕も間違いなくそうした部分を持っている。演じるということは、そういう自分の嫌な部分をきちんと認めることから始まります。自分の中から、嫌な部分を引っ張り出して、それを広げないといけません」

 例えば新聞の社会面。毎日のように、犯罪記事が載る。三浦はこうした事件も他人事と考えない。

「世間から責められるような犯罪者であっても、きっと何かあるんだろうなと考えます。なぜここまで追い込まれたのか、自分がその状況に追い込まれたらどうなるか。僕らの仕事は、“想像”から始まると思っています」

 三浦にとって「俳優とは自分をさらけ出す商売」だ。

「そりゃあ、普段はカッコつけていたいですよ。本来、見栄っ張りですしね。例えば車なんて興味もないし、走ればいいと思っているけれど、見栄があるからベンツに乗ってしまう。これも弱さのひとつなんでしょうね(笑い)」

 自分の弱さを知る──。三浦友和という役者の強みは、ここにあった。

■撮影/矢西誠二 ■取材・文/角山祥道

※週刊ポスト2016年6月10日号

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