モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(54)が、生産終了後のいまも根強いファンがいるマツダ・ロータリーエンジン車の未来について解説する。
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ご同輩諸君。我らオッサン世代は、マツダのロータリーエンジン車に大いなる思い入れを持っている。
私にとってロータリー車との初めての出会いは、『帰ってきたウルトラマン』に登場した“マットビハイクル”ことコスモスポーツの勇姿だった。
この“ビハイクル”という呼称は、英語のビークル(vehicle)をローマ字読みしてしまったためらしい。実にマヌケな話だが、チビッ子にはそんなことはどうでもよし。世界初のロータリーエンジン搭載車であるコスモスポーツの低く流麗なフォルムは、少年の心に強烈な印象を残したものだ。
続いて1978年に登場したサバンナRX-7では、ロータリーエンジンよりなにより、リトラクタブルヘッドライトに心を奪われた。当時はちょうどスーパーカーブーム。リトラクタブルヘッドライトは別名「スーパーカーライト」とも呼ばれており、それを国産車が装備しただけで、鼻血が出るほど興奮した記憶がある。
2代目RX-7の発表は1985年。当初「まるでポルシェ・944みたいでカッコいい!」と言われたのを思い出す。あの頃、ポルシェに似ていることは100%善だった。2代目RX-7は性能面でもそのポルシェ・944に迫っており、我々クルマ好き青年に大きな希望を与えてくれた。
そして、1991年登場の3代目RX-7。ロータリーターボエンジンは255馬力にまで出力を上げ、軽量ボディを狂気のごとく加速させた。女性モータージャーナリストの藤島知子さんはこう述懐する。
「私は3代目RX-7でクルマの修業を積んだので、すごく思い入れがあるんです。エンジンが小さいぶん、ボンネットがとても低くてカッコいい。そしてリトラクタブルヘッドライト! RX-7に乗っていると、いろんな人に話しかけられましたね~」
そりゃあRX-7を駆る美女がいれば、カーマニアとして話しかけずにはいられまいて。
「RX-7は儚いクルマでした。耐久性はないし、リッター4kmしか走らないし(笑)。ロータリーエンジンは普通のエンジンと違って『キュイーン』って回るんです。思い出すと胸がキュンとします」(藤島氏)
そう、RX-7には、滅びの美学があったのである!