乳がん検診には最も基本的な「視触診」と、「マンモグラフィー」(乳房をX線で撮影)、「エコー」(ゼリーを塗った乳房に超音波の端子をあてて内部を観察)がある。
一般的に乳腺が発達している若いうちは超音波、40代前後からはマンモが良いとされているがいずれも発見率は100%ではない。
しかし近年、マンモグラフィーについて海外では「意味がない」「リスクがある」との意見も強い。実際、2014年5月にはスイス医療委員会が「マンモグラフィーは死亡率を低下させない」として廃止勧告、2009年には米国予防医学特別作業部会が「推奨しない」と結論づけたことを発表。2014年にはカナダ・トロント大学も「マンモグラフィー検診は、乳房触診検査や通常診療のみの場合に比べ乳がん死を低減しなかった」と指摘した。
新潟大学名誉教授の岡田正彦氏が言う。
「検診を受けた人と受けない人の死亡率は統計学的に有意な差がないという報告があります。つまり乳がん検診に有益性はありません。
乳がん患者が増えているのは単純に検診率の上昇とともに過剰な診断が増えているからでしょう。死亡者数はほぼ横ばいです。誤診によって投薬や切除されてしまうこともあるなど不利益もあります」
マンモグラフィーへの疑念と同時に、日本では視触診に対する見直しの動きもある。
「厚生労働省は2015年に、《乳がんの早期発見という観点からはしこりを発見する視触診は最適な検査法であるとは言い難い》としていて、全国各地の病院のなかには視触診を廃止した病院もあります」(富永院長)
ではどうすればいいのか。富永院長が続ける。
「2015年に東北大学の教授らによるグループが発表した論文で、マンモグラフィーと超音波を併用すると発見率が1.5倍上がったことが報告されました。調査の中心となった対象は40代ですので、特に50才までは併用することをおすすめします」
大切なのは“検診しているから大丈夫”“若いから大丈夫”といった「○○だから大丈夫」という油断を捨てることだ。
自分の手で体をなぞるセルフチェックを欠かさないようにし、日々の変化を見逃さないことが求められる。海老蔵は6月10日、会見後に「検診に行きます」というコメントが殺到したことを受け、ブログにこう綴った。
《これってマオがとても喜ぶなぁと想いました。マオは元気になったら少しでも世の中の為に役立ちたいと思っているので…。(中略)今回の事で多くの方が検査をして場合によっては救われる方も出てくる。その様なとらえ方ならば昨日の会見はよかった》
※女性セブン2016年6月30日号