国内

注目高まる乳がん検診 マンモグラフィー効果は多様な見解

1年8か月前に乳がんが見つかったというが…

「朝から晩まで、電話が鳴りやまないんです。あんなことは初めてでした」(都内のある婦人科クリニック)

 市川海老蔵(38才)の会見翌日の6月10日。妻・麻央(33才)の闘病生活を知った女性たちが、乳がん検診の予約に殺到し、多くの病院ではいつになく慌ただしい雰囲気となった。都心の大学病院の婦人科を訪れた女性もこう証言する。

「平日なのに、待合室はあふれんばかりの人がいて…。診察を受けるまでに2時間もかかりました。有名人の発言の影響というのは本当に大きいんだな、と…」

 しかし昨今、この乳がん検診については疑問の声もあがっている。乳がんのステージは大きく初期の0期~IV期までの4つに分類され、生存率はがん腫瘍の悪性度によって変わるため一概にはいえない。治療法もさまざまで、腫瘍部分を取る「部分切除」や乳房全体を切除する「全摘」など手術にもいくつか種類があるが、併せて抗がん剤やホルモン治療などを行うのが一般的だ。乳腺外科・ベルーガクリニックの富永祐司院長が話す。

「抗がん剤でがんを小さくしてから手術をするケースが多いですが、手術まではだいたい半年前後。1年8か月もの間、手術に踏み切っていないとすれば転移の可能性がありますが、治療を続けながら日常生活を送ることは可能です。

 麻央さんのように30代で乳がんにかかる若年性乳がんは極めて珍しく、大きな要因としては遺伝の影響があります。若年性乳がんは進行が速いのも特徴です」

 乳がんは40代後半から50代に多く、各自治体も助成費を投じての検診案内は30代後半からがほとんど。さらに、妊娠中や授乳中はがんを見つけにくいという。妊娠するとほとんどの病院が子宮頸がんワクチンを受けるよう推奨するが、乳がん検診は同様ではない。

「妊娠中は乳腺が通常の状態とは異なっているので、早期の小さながんは見つけにくい。また、妊娠、授乳を経ると血流がよくなりホルモンが過多に反応することでがんの成長を促す可能性も高いです。妊娠、授乳中は乳房が張るのは自然現象ですから検診を受けるのは断乳してからです。

 妊娠中に新たながんができることはありませんが検診しない期間が空くことで、一気に成長してしまうこともあります」(富永院長)

 芸能界ではここ最近、乳がんについてのニュースが続いている。昨年9月には北斗晶(48才)、11月には生稲晃子(48才)が4年8か月にわたって乳がん治療を続けてきたことを告白、今年3月には南果歩(52才)が初期状態で手術を受けていたと明かした。

 統計を見ると、日本において乳がん患者は増加の一途をたどり、50年前は50人に1人だったのが、現在では12人に1人が罹患するといわれるほどだ。医師や啓発団体はその要因の1つに「検診率の低さ」を挙げており、「早期発見、早期治療のためには検診に行くこと」を推奨するが、北斗は毎年欠かさず検診を受けており、麻央も、検診でわかったときにはすでに深刻な状態まで進行していた。

関連記事

トピックス

火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン