昔と比べて、新馬戦は「早く、面白く」なりました。競馬サイクルの位置づけが「ダービーからダービーへ」と明確化したからです。以前は北海道のみが6月、新潟や小倉は7月末から。しかも1200メートルや1000メートルのダート戦ばかりでした。クラシックを狙う馬は、夏場はゆっくりと調整していればよかった。いまは東京・阪神でも6月から1800メートルがあります。
函館の前半は1000メートル、1200メートルが主ですが、後半には1800メートルのレースもあるし、7月後半には初めての重賞も組まれています。これだけ舞台が多彩だと、早くデビューさせて、勝たせてやりたいと意気込むわけですね。
新馬戦のパドックは独特のにぎやかさに溢れています。馬主さんたちも、小学校の運動会を観にきた親たちのよう。馬もまだ子供っぽく、可愛い声でいなないたりします。周回もどこか落ち着きがない。
賞金も高い新馬勝ちは大いなるステータスです。ここからクラシックへ向かう馬が誕生すると思うと、ワクワクしてきます。
●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後15年で中央GI勝利数23は歴代2位、現役では1位(2016年6月5日終了時点)。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、馬文化普及、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイア、ラキシス、サンビスタなど。
※週刊ポスト2016年6月17日号