東急目黒線の日吉駅まで乗り入れる都営三田線の電車
矢内さんはSFCで学ぶ慶應生。そこで、SFCの目の前にできる駅について、どんな駅名を期待しているのか? と質問してみた。
「SFCは慶應の一部ですが、『慶應大学前駅』といった慶應を代表してしまうような駅名は、三田や日吉が許さないと思います。SFC一帯は遠藤という地名なので、遠藤駅になる可能性が高いのではないでしょうか」
慶應義塾大学鉄道研究会の内部からは、京急電鉄久里浜線のYRP野比駅のように「SFC遠藤駅」になったら面白いという声も挙がる。そうした話で盛り上がっていることからも、鉄道研究会内における“慶應線”の関心は決して低くない。しかし、矢内さんは“慶應線”が実現することで危惧する点もあるという。
「東急目黒線は、田園調布駅-日吉駅間で東横線と同じ場所を走っています。東横線は東京メトロ・西武・東武・横浜高速鉄道(みなとみらい線)と相互乗り入れをしており、東急目黒線は三田線・南北線・埼玉高速鉄道と乗り入れしています。これに相鉄が加わりますし、2019年には相鉄とJRの相互乗り入れも始まる予定です。列車運用が複雑になると、輸送障害が起きやすくなり、遅延が常態化します。そのあたりが気になりますね」
東京圏の鉄道は、利便性の向上を目的として相互乗り入れが進められた。その結果、乗り換えなしであちこちに行けるようになった。
しかし、便利になった反面で不便になったこともある。どこかで事故が起きると、たちまちすべての鉄道が停止してしまうのだ。
2015(平成27)年に開業した上野東京ラインは、常磐線・高崎線・宇都宮線と東海道本線とを東京駅でドッキングさせて東海道本線との相互直通を可能にしたが、乗り換えの手間がなくなった一方で、その弊害も指摘されている。
たとえば京浜東北線や横須賀線などで事故が起きると、常磐線や東北本線にも影響が及ぶ。無関係のようにも思える路線で輸送障害が起きるようになった。“慶應線”にも、そうした不安がついて回る。
期待と不安が交錯する“慶應線”は、計画通り2030年に爆誕するか!?