ビジネス

孫正義氏は「全身経営者」 会社が好きすぎて離れられない

孫正義氏は後継者選びを諦めたのか?

 165億円というメジャーリーガーも顔負けの移籍金を用意し、自らの後継者候補を海外より招へいしたソフトバンクグループ社長の孫正義氏(58)。だが、それから2年もたたずに心変わり。社長続投を宣言して大きな波紋を呼んでいる。

 果たして孫氏に“引退”の二文字はないのか。雑誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が、カリスマ経営者の胸の内を解き明かす。

 * * *
「えー!? でもやっぱりな」──。6月21日夜、ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ副社長(48)が退任するとの第一報を聞いた時、最初に思い浮かんだのがこの言葉だった。

 グーグルの上級副社長だったアローラ氏が、孫正義社長の三顧の礼に応えたのは一昨年の10月のこと。アローラ氏はソフトバンクの投資部門を統括、入社早々、インドのスナップディールの投資案件をまとめ、多額の評価益をもたらすなど、期待にたがわぬ手腕を発揮する。

 自分の目に狂いはなかったと確信した孫氏は、昨年5月の決算発表の席でアローラ氏を「最重要な後継候補」と紹介、この時からこの2人のバトンタッチは既定路線となった。

 孫氏には有名な「人生50年計画」がある。19歳の時に立てた「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を貯め、40代でひと勝負、50代で事業を完成させ、60代で継承する」というものだ。孫氏はこの計画を繰り返し語っているが、「中でもいちばんむずかしいのは
60代の継承」とも言っていた。

 カリスマ経営者であればあるほど、後継者を育てるのはむずかしい。そこで2010年には「ソフトバンク・アカデミア」を設立するなど後継者育成の準備を進めてきた。

 そんな時に出会ったのがアローラ氏だった。孫氏はアローラ氏に惚れ込み、多額の移籍金を用意してソフトバンク入りを迫った。アローラ氏も創業から30年以上たったいまなお、成長のスピードの衰えないソフトバンクに興味を示し、後継者となることを承諾した。何もかも、孫氏の思い描いているように進んでいるかのように見えた。

 ところが6月22日開催の株主総会の前日になって、急遽、アローラ氏の退任が発表された。総会で孫氏はこの人事について「もうちょっと社長を続けようということで、彼には本当に申し訳ないことをした」と語り、自分がまだしばらくは経営の第一線に立ち続けたいがための退任であることを明らかにした。

 孫氏は来年60歳を迎える。当初はそのタイミングでの社長交代を予定していたが、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)など、技術の進化が新たな可能性を生み出している。この状況で経営を手放すことなどできはしない、かといってアローラ氏をこれ以上待たせるわけにはいかない。そこで続投するというのだ。孫氏の継承計画は水泡に帰した。

関連キーワード

トピックス

海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン