しかしA社側に支払った報酬の一部が賄賂に使われた恐れがあるとして昨年2月、オリンパスの監査役に社員から報告や相談が持ち込まれ、取締役会は弁護士で構成される社内調査チームを立ち上げて調査せざるを得なくなった。こうして作成されたのが、前述の「最終報告書」である。
調査は難航したらしい。一般に第三者委員会が立ち上げられると、1~3か月ほどで報告書をまとめるものだが、たっぷり9か月を要した。関係者によると「調査を依頼した側のオリンパスが調査に消極的だったうえ、弁護士の調査で会社として不都合な資料が見つかったため」だ。
最終報告書は、賄賂の供与、またはその指示・了承に関して、「認めるに足る証拠が見つかっていない」ことから、賄賂の事実は「認められない」としている。ただし一方で、極めて慎重で抑制的な言い回しながら、最低限のことは指摘している。B社とコンサル契約を結んで罰金がゼロになったことから「B社が贈賄等を行った疑いを強める事情と見ることができる」と言及。そのうえで、B社が「税関関係者への賄賂支払いを目的としたダミー会社ではないか」との疑惑についても検証している。
しかもB社への支払いは、OSZで「小金庫」と呼ばれる裏金や裏帳簿から支出されていたことや、現地の中国人社員が税関職員との会食やデジタルカメラの贈答の決裁を上司に繰り返し求めていたことも判明した。
最終報告書には、「OSZの関係者が(中略)税関担当者に対し贈答を行ったことをうかがわせる証拠が発見され、関係者も贈答を行ってきたことを認める」(ただし、賄賂と認識していた証拠はないと説明)とある。