最終報告書はこうした姿勢を「(オリンパス経営陣は)責任が上位者に波及するのを避けるべく部下や下位組織に決裁責任を取らせる、又はそう解釈されうる発言は慎むべき」と手厳しく断罪している。
これほどきわどい内容の最終報告書だからなのか、オリンパスはこれを投資家にも開示していない。米司法省も最終報告書の存在を嗅ぎつけてオリンパスにその提出を求めているが、オリンパスは守秘義務を盾にとって提出を拒んでいる。
米司法省はどういう経緯で最終報告書の存在を知るに至ったのか。実はそこに伏線があった。オリンパスは知るまいが、前述した極秘資料の一部は関係者の手によって昨年のうちに米司法省に渡っており、それがきっかけになって最終報告書の存在が知れることになったようだ。日本でも在庫問題をめぐる一連の秘事は中央官庁が把握している。オリンパスはすでに追い詰められようとしているのだ。
■山口義正/やまぐち・よしまさ 1967年生まれ。アナリスト、日経新聞証券部記者などを経て、経済ジャーナリストに。オリンパスの損失隠し事件スクープで第18回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞大賞」を受賞。
※週刊ポスト2016年7月8日号