国内

大規模災害でハンコ需要が急増 材料足りずに価格高騰も

災害時にはハンコ需要が急増

 役所に書類を出す時も、車や家を買う時も、遺産相続の手続きにも必要な「ハンコ」──。電子取引・電子申請が普及しても、なぜかなくならない。サインの方がよっぽど信用できるのに……と思うこともあるだろうが、とんと廃れない。

 過去には国レベルで「ハンコ廃止」が俎上に載せられたこともあったが、印章業界の猛反発を受け、ハンコを使う手続きが残されたという。実際、各種法律に「押印」が出てくる例は数え切れない。

 たとえば刑事訴訟法では召喚状や勾留状について、〈裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない〉とあるし(63条、64条1項)、地方自治法では一般競争入札などに基づく契約を結ぶ際、自治体の首長らが〈契約書に記名押印し〉なければならないと定めている(234条5項)。

 国の制度と不可分の存在なので、業界では折々に「特需」が生まれる。1971年に創刊された日本で唯一の印章業界誌『月刊現代印章』の真子茂・編集長の解説。

「2006年の新会社法では、資本金1円で株式会社が立ち上げられるようになり、新会社設立が相次ぎましたが、起業時の法人登録に印鑑は不可欠です。この時は3万~10万円の代表者印、銀行印、会社印の3点セットがよく売れました。

 ゴム印の特需もあり、『銀行の合併再編』では、出納印など行内のゴム印類が一斉に変わったし、『市町村合併』では役所も企業も住所の入ったゴム印が作り直しになった。市外局番や郵便番号の桁数が変わった時もそうだし、消費税が3%から5%になった時は領収証の税率表記のゴム印に大きな需要が生まれた」

 他にも「大規模災害で需要が急増」という現象が起きる。印章業組合の関係者が説明する。

「震災が起きると家屋の倒壊や津波で印鑑をなくす人がたくさん出る。災害の直後は行政や金融機関も印鑑以外の本人確認に対応することが多いが、それでも生活再建のための手続きには印鑑が必要不可欠。

 阪神大震災の時は、印鑑の材料である柘植が足りなくて価格が高騰したし、東日本大震災の時も津波で店を失った印章店が高台の仮店舗で営業再開し、被災者のニーズに応えていた」

※週刊ポスト2016年7月22・29日号

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン