さらに、歯科医が患者に対応する時間、いわゆるチェアタイムの違いもある。レジン治療が20~30分。対する銀歯治療は数分程度で済む。残りの作業は歯科技工士などに任せて次の患者を診療できるため“コストパフォーマンス”がいい。
ただし、銀歯の材料となる金銀パラジウム合金が20年前と比べると約4倍に高騰。現在は銀歯治療をやっても以前のような利益は出ない。そのため、最近ようやくレジンの普及が進んでいる。
そうしたなかで、銀歯の代わりにセラミックを勧める歯科医も多い。天然歯と似た色合いなので審美性に優れているし、硬すぎて割れやすいという弱点も改善されてきた。ただし、セラミックは自費診療で、クリニックによって価格差が大きい。
歯科関係者によると、セラミックの被せ物(クラウン)は、材料費と加工費をあわせて2万円台から4万円。それが患者に請求する時は、都内のクリニックだと12万~15万円に跳ね上がる。自費診療の値段設定には家賃や人件費など経営コストの都合も絡むのだ。
●レポート・岩澤倫彦(ジャーナリスト)と本誌取材班
※週刊ポスト2016年7月22・29日号