ライフ

羽田圭介氏 不食と肉体改造ブームは同じ匂いがする

独自の食生活を続けてきた羽田圭介氏が語る

【書評】『不食という生き方』/秋山佳胤著/幻冬舎/1100円+税

【著者】秋山佳胤(あきやま・よしたね) 1969年東京都生まれ。弁護士。東京工業大学理学部卒業。著書に『誰とも争わない生き方』(PHP研究所)、『食べない人たち』、『食べない人たち ビヨンド』(ともに共著、マキノ出版)。

 ここ数年、「不食」なるものが一部の人たちの間で注目されている。文字通り食べ物を一切摂取しないことで、人によっては水分さえ摂らない。ダイエットのための減食、少食、何らかの必要性から一時的に摂取を断つ絶食、断食とは異なり、自らの意思で、生き方として継続的に摂取を断つ。

 2010年には、一日の摂取が80kcalの青汁だけという生活を15年以上続けてきた女性を取り上げたドキュメンタリー映画が公開され、去年は俳優の榎木孝明氏が30日間、1日1l程度の水以外の摂取を断ったことがスポーツ紙やワイドショーで話題になった。

 最近刊行されたばかりの本書は、“不食界”著名人の一人である著者の不食体験や生き方を記したもの。それによると、著者は2008年3月以降、一切の飲食が不要になったという。

 独特の食習慣で知られ、自らの肉体を使って「食の人体実験」を行ってきたと話す芥川賞作家羽田圭介氏は「不食」をどう受け止めるか。(インタビュー・文/鈴木洋史)

──「不食」という事実をどう受け止めますか。

羽田:著者が書いているように、必ず獲物が獲れるわけではない狩猟時代の環境に慣れるため、もともと人間の体は飢餓に強く、過食に弱いようにできているというのはわかりますし、日本人が江戸時代までは1日2食だったというのもその通りでしょう。

 でも、この著者は一切の食べ物、水分を摂らないと言っているわけですが、それは本当なのだろうか? と、事実として受け入れがたいところはありますよね。「不食」を続け、「プラーナ」という「気」を大量に摂取して体内に水を生成していると称する一方、「家族や友人との食事会などでたまに」食事をするとも言っていて、その「たまに」がどの程度なのかは具体的に明かしていない。肝心の情報が隠されているので、その「たまに」のおかげで生きているんじゃないかという感じがするんですよね(笑)。

──著者は、「不食」を続けると意識がクリアになる、睡眠時間も1日2時間ですむようになる、と言っています。

羽田:実はこの5月、6月の2か月間、ムック本でレポートする仕事として、低糖質ダイエットと筋トレを続けているんです。そのために極力炭水化物の摂取を減らし、鶏肉、豆腐、ブロッコリーといったものばかり食べています。そうすると、確かに食後の眠気はなくなり、頭は冴えるんですね(食事によって急激に血糖値が上昇すると、それを下げようとしてインスリンが大量に分泌されて低血糖状態になり、脳の活動が低下して眠くなる)。「不食」ならなおさらそうかもしれません。

 その反面、炭水化物を摂らないということを常に意識していなくてはならず、その分、思考のパフォーマンスは落ちるような気がするんです。

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン