ところが、最近では衆院の結論に押し切られることが続いている。2005年、郵政民営化法案が参院で否決されると小泉純一郎・首相は衆院を解散し、総選挙に打って出て大勝。総選挙後には参院でも法案が可決された。前述の特例公債法についても、今年3月の改正で5年間は国会審議なしで国債が発行できるようになってしまった。

 私自身は、「国民投票」という手法には懐疑的だ。「参院の存在意義」への理解が乏しいまま風任せで投票する人が出てくるリスクが排除できない。英国のように政治家の責任放棄につながる危惧がある。ただ、状況としては「参院廃止」の国民投票を求める声が出てきてもやむを得ない惨状ではある。

 議員の質の問題だ。タレント候補がどんどん擁立され、明らかに質が落ちた。当選した後で「これから勉強します」では困るのだ。

※週刊ポスト2016年8月5日号

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