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「老害」という罵倒語を安易に使うべきではない理由

 で、上位3層の下にある平べったい台形部分が2つ、それらは順に「安全の欲求」と「生理的欲求」だ。「安全の欲求」には、身の安全、雇用の安全、健康面での安全などの他に、資産の安全も含まれる。その下の「生理的欲求」は、呼吸、食糧、水、セックス、睡眠、排泄など、生き物としてごくごく基礎的な欲求のことである。

 先の調査の話に戻るが、現在ほしいもの「お金」41%は、こうした5階層のうち下から2番目の「安全の欲求」の表れだろう。呼吸、食糧、水……といった生存に最低限必要な欲求の上に、ささやかながら求められる安心・安全、それらを手に入れるための「お金」。そこに不安を覚えている60~74歳が、すでに4割強も存在しているということなのだ。

 この4割強は、「いやあ、町内会の世話役に犬の散歩にと、毎日結構やることが多くてねえ」と健やかに笑う、同世代の金持ち爺さん婆さんと自分との格差の意味を知っている。金持ち~は、真善美のボランティアに打ち込む自己実現老人で、社会的には成功者かもしれない。だが、下から見上げたら「この不平等はなんなんだ」である。

 自分だって懸命に働いてきた。ただし、あちらは大卒で自分は学費がなくて高卒、たまたま大企業社員と孫請け社員に分かれたってことじゃないか。つまり運の違いがこの老後の大格差となった。それは不条理である、と。

 金持ち~が唾棄すべき「敵」であるかどうかは意見が分かれるだろうが、まずは、「老害」で一括りするとこういう社会構造が見えなくなるよ、と言いたい。それは他人事でなく、これから先はもっと格差がでかくなるよ、と老人予備軍の私は、戦慄しながら同輩以下に伝えたい。

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