「これもさまざまなアレルギーを持つ子供が増えたからです。私がいた学校ではカモを飼っていましたが、鳥アレルギーの子供が入学してきたのを受けて、飼育をやめました」(兵庫県・元小学校教諭)

 アレルギーの問題だけでなく、「餌やりのためだけに子供を夏休み中も学校に通わせるのか」という親のクレームも影響しているそうだ。「鳥インフルエンザが流行したため、鳥の飼育を中止した」(福島県の小学校校長)という学校もあるという。飼育小屋とともに、グラウンドの片隅にあったはずの砂場も見かけなくなった。理由は「犬や猫がフンをして、大腸菌が増殖する」という衛生上の問題である。

「学校によっては残っているところもあるようですが、ほとんど使わなかったり、放課後はビニールシートが被せてあります」(東京都・PTA顧問)

「消えた理由」はそれぞれあるようだが、これでは学校がますます息苦しくなりそうだ。教育評論家・小宮山博仁氏は、最近の小学校は地域によるが、閉ざされていく傾向があると指摘する。

「2001年に大阪教育大学附属池田小学校で起きた不幸な無差別殺傷事件が引き金になり、セキュリティが異常に強化されるようになった。再び同様の事件が起きれば、教師や教育委員会の責任問題になるからです。そのためセキュリティが厳しくなり、地域住民が学校に協力したいと思っても、できなくなっている」

 時代の移り変わりには抗しがたいものがある。だが、小学校から消えてしまった“日本の風物詩”に、思いを馳せたくなる人も多いのではあるまいか。

※週刊ポスト2016年8月5日号

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