脊柱管内の狭窄が痛みの原因ではなく、神経を圧迫していた犯人は脊柱管の外にあった。そのため、MRIでは捕捉できず、間違った診断が下され、治療も功を奏さない──そんな患者が少なくないのである。
「他院で脊柱管狭窄症と診断され、当院を訪れた患者のうち6~7割が『管外タイプ』、または『管内と管外の混合タイプ』と考えられます。これらのタイプに通常の治療法は効きませんが、注射や手術をせずに改善させる方法があります。
腸腰筋などをほぐす体操をすることで、約6割の患者に症状の改善が見られました」(同前)
大きな効果を生んでいるのが、清水氏が考案した「脱力蹴り出し体操」だ。左右の足を片方ずつ後ろに上げてから前に蹴り出す。足に力を入れず脱力することで腸腰筋がほぐれる。左右5回ずつで1セット。朝晩各5セット行なう体操である。
腸腰筋とは腰椎と骨盤、左右の大腿骨を繋ぐ筋肉群の総称をいう。硬くなった腸腰筋がほぐれて柔軟になれば、骨盤の位置が正され、その骨盤を通る坐骨神経の圧迫も解消されるという。
脊柱管狭窄症の治療を施しても改善が見られない人は、脊柱管外のトラブルを疑ったほうがいい。その見分け方を清水氏が教える。
「前屈姿勢になって痛みや痺れが和らげば管内タイプ。お尻や太腿の筋肉が硬く、シコリがあり、押すと痛みなどを感じる人は管外タイプの疑いがあります」
タイプを見極め、適切な治療を行なえば、完治も夢ではない。
※週刊ポスト2016年8月5日号