「とがないでいい米、“無洗米”という言葉自体は、私の子供時代にもあったんです。でも、それは氷の天ぷらを揚げるよりも難しい、と業界内ではいわれていたんです」
しかし、雜賀さんはその難題に挑戦し、「お米の革命」と注目された「BG無洗米」に辿り着く。ちなみにBGのBとは「ぬか(Bran)」、Gは「削る(Grind)」の英語の頭文字だ。これが世界初の無洗米だ。
普通のお米(精白米)は、玄米から胚芽とぬかを取り除いているが、表面にはまだ粘着性のある「肌ヌカ」が残っている。BG無洗米はその「肌ヌカ」まで工場で取り除いているので、とがなくてもいい。この「肌ヌカ」という言葉は、雜賀さんが命名したものだ。
粘着力が強い肌ヌカは、お米の酸化、劣化を促進させて味を落とす。これはどんなに高価なブランド米でも例外ではない。
名だたるブランドの精白米と、いわゆる標準的なお米の無洗米とを比べると、肌ヌカを取り除いた後者のほうがはるかに食味がいいという。
「発売した時は、“とがなくていい米? 主婦の不精を推進する米だ”などと、ずいぶん批判を浴びました(笑い)」
しかし、無洗米は水が自由に使えない災害時や水不足の時には大いに重宝されるし、何よりも河川や湖沼の汚染の防止に力を発揮した。今では誰もが重宝している。
昨年には「BG無洗米による米のとぎ汁公害及びCO2排出の削減活動」が評価され、「第24回地球環境大賞 環境大臣賞」を受賞。他にも環境保全の活動で自治体などから贈られた賞は数えきれない。だが、こんな難題に好んで挑戦していくので、当初は業界や経済界では、「なんや雜賀いうのは変わり者や」と、笑われてきたという。
※女性セブン2016年9月15日号