ビジネス

三菱自「下請け化」回避の条件 命運は新型PHEVが握る

PHEVで存在感残す三菱「アウトランダー」

 クルマの燃費不正問題が尾を引く三菱自動車──。8月下旬には、立ち入り検査を行ってきた所管の国土交通省が、すでに不正が発覚していた軽自動車4車種以外でも、カタログ燃費をごまかしていたと発表。これで三菱自が販売している全9車種のうち、じつに8車種で燃費不正が明らかになり、同社は該当車種の販売中断とユーザー補償に追われている。

 業界内部では、“弱り目にたたり目”の三菱自叩きに、こんな声も聞こえてくる。

「国交省は自らの検査体制の不備を棚に上げているうえに、これ以上、燃費問題の影響が他社に及ばぬよう、三菱自をスケープゴートにして“一罰百戒”を狙っているとしか思えない」

 もちろん、長年にわたり不正を故意に隠ぺいしてきた企業風土は擁護されるべきではないが、執拗なサンドバック状態に三菱自の存在感は失われる一方だ。その証拠に、7月の国内販売台数は、前年同月比34.7%減のわずか6364台で、4か月連続の2ケタ減に見舞われている。

 不幸中の幸いといえば、日産自動車が10月にも2373億円の資本を入れて三菱自株の34%取得する支援策を表明していることだ。今後10年間は保有し続けることでも合意している。

 だが、このまま三菱自についた悪いイメージを払拭できなければ、日産の傘下で“スリーダイヤ”バッジのクルマが消滅してしまうのではないかとの懸念は残る。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏もこう指摘する。

「日本ではブランド存続の剣ヶ峰に立っていることは事実だと思います。特に、一番台数も売れて商売になる軽自動車が燃費不正で壊滅状態に陥っているのは致命傷に近い。

 今後、全国に散らばる販売網を維持できるまで販売車種や台数を回復させられなければ、三菱のプレゼンスはますますなくなっていくでしょう。国内向けの新型車開発は日産主導で、三菱は下請けの生産会社になる可能性だってあります」

 こうして識者の見解を聞くと悲観論一色に思えるが、井元氏が敢えて「日本では」「国内向け」と強調しているのには理由がある。グローバル市場では日本ほどスリーダイヤのブランドは傷ついていないからだ。それは日産のカルロス・ゴーン社長が「アジアでは三菱車の人気は高い」と提携会見で認めたことからも明らか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト
本誌『週刊ポスト』の高利貸しトラブルの報道を受けて取材に応じる中条きよし氏(右)と藤田文武・維新幹事長(時事通信フォト)
高利貸し疑惑の中条きよし・参議院議員“うその上塗り”の数々 擁立した日本維新の会の“我関せず”の姿勢は許されない
週刊ポスト
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
高橋一生と飯豊まりえ
《17歳差ゴールイン》高橋一生、飯豊まりえが結婚 「結婚願望ない」説を乗り越えた“特別な関係”
NEWSポストセブン
西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
女性セブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田首相の脱法パーティー追撃スクープほか
NEWSポストセブン