実は筆者は、この番組制作サイドからコメント依頼を受けていた。「抗争の一方だけを取材し、両論併記になっていないため」という理由からだった。

 東海テレビ宣伝部は放送について、「番組の編集方針に関わる内容であるため、回答については控えさせていただきます」と答えたが、放送までに局内で相当の議論や逡巡があったことは間違いない。

 テレビ初の直参インタビューも、話題は新神戸駅の騒動から始まった。直参はかなりきつめの言葉で話し始めた。

「これはちょっと許されんなと思ってね。神戸駅で親分にサインくださいとか。神様ですよ。我々にとったら。親分って。つい1年前まで、親分の写真をおいて『はー』って思っとった者が、このガキら、自分らがしたことがどんだけ後日マイナスになるかということを理解できてない」

 前述したとおり、ヤクザの美学からすれば完全にアウトの事例なので、六代目側の組長にとっては格好の攻撃材料だったろう。

 だが、後に続く主張に目新しい内容は皆無だった。「分裂」を「謀反」と表現するなど、自陣営を100%正当化したものだ。活字メディアでは既出であり、いまさらという感想しかない。それでも動画は消しゴムで修正するわけにいかないので、細部の言い回しは刺激的ではあった。

「向こうの井上次第でしょ。井上が親分のとこに来て、『勘違いしてました。申し訳ありませんでした』と言うたらそれで終いですよ」

 などという言い回しは、たとえ相手がそのとおりにしゃべっても活字メディアでは書けない。インタビューで相手のトップを「井上」と呼び捨てにしたのは、相手への侮辱という意味でヤクザ社会では同様にタブー視される表現だが、「サイン挑発」のお返しとしてあえて使ったのだろうか。

※週刊ポスト2016年9月30日号

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン