早さという点では、示談も異例のスピードだった。弁護士の郷原信郎氏が言う。
「通常、加害者側に怒りや恐怖を覚えて被害申告をした強姦の被害者は、すぐの接触を拒み、示談交渉は起訴後になることが多い。早く示談が成立したのは、被害者側に早い段階から示談の意思があったと見るべきでしょう」
県警内では逮捕に至った経緯の確認作業が行なわれているという。
「強姦の場合は本来、性行為があったことを示す証拠が必要。今回、衣服は押収したようだが、被疑者がすぐに認めたため、証拠は重要視されなかったようだ」(前出・捜査関係者)
元兵庫県警刑事の飛松五男氏が言う。
「捜査員は被害が届け出られた時に熟考すべきだった。一部の捜査員たちが有名人の逮捕という“勲章”に浮き足立っていたのではないか。結局、被害者と加害者双方にとって様々な疑念を残しただけ。警察の罪は重い」
これは冤罪でも免罪でもなく“煙罪”とでも呼ぶべきか。“煙に消えた”ように真実が何も見えない。
※週刊ポスト2016年9月30日号