「ひだまりガーデン南町田」のお別れパンフレット


──内服薬が飲めないなら、貼り薬や座薬に変更してください

 嚥下機能の衰えによって、飲み込む行為が辛くなることもある。内服薬を無理に飲ませる必要はなく、貼り薬や座薬タイプに変更するよう医師と相談してもいい。症状を和らげるための薬が逆に苦痛を生み出しては本末転倒である。

──呼吸が荒く、手足をバタバタさせ、意味不明なことを言い始めても動揺しないでください

 在宅医療専門のホームオン・クリニックつくば院長の平野国美氏の話。

「亡くなる1週間前になると、呼吸が間延びして無呼吸状態が続くなど、リズムが乱れます。死期が近づくと起きる現象なので、慌てる必要はありません。

 家族の名前がわからなくなったり、辻褄の合わないことを言い始めたり、興奮して手足をバタバタさせ始めることもありますが、肝機能の低下や脳内麻薬のエンドルフィンが分泌されたことなどによる自然経過の一つなので、豹変ぶりを嘆かずに温かく見守ってあげてほしいです」

 いずれも酷い時は在宅医や訪問看護師に薬を処方してもらい、症状を抑えることも可能だ。

──苦しそうな表情をしていても、慌てて救急車を呼ぶ必要はありません

 苦しそうにしている姿を見れば、反射的に救急車を呼んでしまいそうだが、前出の永井氏は「慌てないことが肝要」だと言う。

「すぐに救急車を呼ぶのではなく、まずは信頼できる在宅医か訪問看護師などに連絡してください」

 救急車に乗った時点で「あらゆる方法での救命治療を希望する」という意思表示と受け取られ、在宅での自然死を迎えることが叶わなくなる可能性もあるからだ。

 さらに到着前や搬送中の車内で死亡すると、医師による診断ができないため、一旦、死因不明として救急隊員が警察に連絡。遺体は病院に運ばれ、警察による検視・解剖を受けることにもなりかねない。

※週刊ポスト2016年10月7日号

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