ビジネス

「何かあったときは家を売ればいい」説 だが現実甘くない

いざとなったら売ればいい?

「一生に1度の買い物」と必死の思いで買ったマンション。だが30年後に思わぬ価格差がついてしまうことがある。立地やどの鉄道の沿線か、周辺施設などで大きな差が生まれるのだ。

 買ったマンションの評価額が激減している場合、どうしたらいいのか。鍵を握るのは「管理」だと『マンション格差』の著者で、住宅ジャーナリストの榊淳司氏はいう。

「適切なマンションの修繕が行なわれていれば評価額が上がることもある。管理会社が杓子定規に『13年に1度』の修繕をしている場合は危険です。必要に応じて修繕をしているかどうかが重要で、それを決定する管理組合が健全に機能しているかがポイントとなります。そうしたマンションの市場価値は高くなるケースが多い。また管理組合を通じてコンサルに委託して管理状況を改善するのも手かもしれない」

 それでもマンションの評価額が下がってしまうと、「売るも地獄、住むも地獄」となってしまう。

 老後の資金を得るために、マンションを抵当に入れることで、住み続けながらその評価額を毎月分割して受けとる『リバースモーゲージ』という方法があるが、ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子氏は、“地獄のマンション”ではそれも難しいという。

「老後資金が少ない人に提案する手段なのですが、評価額が購入時よりも減れば、当然融資額もそれに応じて減額されてしまう。評価額が一定以下だと、審査が通らないこともあります。

 住み続けても、引き継ぐ人がいなければ維持費や固定資産税ばかりがかさむ“負の財産”になりえます」

 看取りサポート事業を行なっているチャプター・ツー代表の三村麻子氏はいう。

「『自宅を売却して施設に入りたい』という人は多いですが、思っていたような値段で売れないケースがほとんど。妻に先立たれ、認知症になったのちにマンションの値が下がり、売れないゴミ屋敷で亡くなった方もいました。『何かあったときに家を売ればいい』と思っている人は少なくないですが、元気なうちに、親身になってくれる不動産屋さんをみつけて相談すべきでしょう」

 マンションの処遇で死に方まで変わってしまうのだ。

※週刊ポスト2016年10月7日号

関連キーワード

トピックス

ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
裁判所に移されたボニー(時事通信フォト)
《裁判所で不敵な笑みを浮かべて…》性的コンテンツ撮影の疑いで拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26)が“国外追放”寸前の状態に
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
「深く考えないようにしていた」山上徹也被告が「安倍元首相を支持」していた理由…法廷で語られた「政治スタンスと本音」【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
不同意性交と住居侵入の疑いでカンボジア国籍の土木作業員、パット・トラ容疑者(24)が逮捕された(写真はサンプルです)
《クローゼットに潜んで面識ない50代女性に…》不同意性交で逮捕されたカンボジア人の同僚が語る「7人で暮らしていたけど彼だけ彼女がいなかった」【東京・あきる野】
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン