ライフ

大日経 「方便を究竟と為す」という言葉の解釈

医師・僧侶の田中雅博氏

 2014年10月に最も進んだステージのすい臓がんが発見され、余命数か月であることを自覚している医師・僧侶の田中雅博氏による『週刊ポスト』での連載 「いのちの苦しみが消える古典のことば」から、『大日経』の「方便を究竟(くきょう)と為す」という言葉の解釈を紹介する。

 * * *
 暑さ寒さも彼岸までといいます。奏効率の低い抗癌剤でしたが私の場合は効いたので、半年ほど命が延びました。それで、春にこの連載をお引き受けしました。すでに秋彼岸です。もう着ることは無いと思っていた冬物の衣服をクリーニングする必要が出てきました。

 彼岸会は日本独自の仏教行事で、大同元年(806)に桓武天皇によって始められました。春分と秋分の前後7日間に全国の国分寺で金剛般若経を読誦したのです。この経に説かれている「筏の譬喩」から「お彼岸」と呼ばれるようになりました。筏の譬喩に関しては何度も書いているので、普門院診療所のHPにも掲載している既刊の連載記事(fumon.jp)を参照して頂ければ幸いです。

 彼岸会が、春分・秋分のときに執り行なわれるのは、観無量寿経(大乗仏教の経典の一つ)に説かれている阿闍世王の物語に由来します。桓武天皇が流刑にした実弟の早良親王は無実を訴えて断食し、餓死しました。桓武天皇は、諫言によって親族を餓死させたという、阿闍世王と共通の苦悩をもったのです。

 その苦悩の治療として観無量寿経は西に沈む夕日に精神を集中するヨーガ「日想観」を説いています。それで太陽が真西に沈む春分・秋分の日が選ばれたのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン