まず、この仕草は、相手に対して感謝の気持ちが強い時によく見られる。仕事ができることに心から感謝し、自分の取材に来てくれたレポーターたちに感謝する気持ちが、強かったのだろう。
レポーターとの短いやり取りの中、かけられた言葉に、「ありがとう」という気持ちがさらに高まったのか、両手を胸元でクロスした仕草もあった。これは、いわゆる「胸いっぱい」の感謝を示すもの。
次に、胸元に手をあてる仕草は、感じている不安や緊張、心配などのストレスから、自分の気持ちや感情を静め、なだめようとする時にも見られる。経験のないラジオの生放送、それも一人でのMCに緊張し、上手くやり通せるか不安を感じ、無意識に気持ちを落ち着かせよう、マイナス感情をなだめようとしていたのだ。
励ましの言葉に感謝しつつも、落ち着いて頑張らなくては、という気持ちが強かったに違いない。
また、人はそれをやりたい時や行っている時、積極的に関わりたい時、「自分が」「私が」と潜在的に自己主張したいと思っている時など、胸元に手をあてやすい。やっぱり自分はこの仕事が好き、仕事をしたいという気持ちが、無意識のうちに表れたといえる。
同時にこの仕草は、自分という存在を強調したいという潜在的な気持ちの表れでもある。川谷の新恋人との交際報道でようやく「ゲスの呪い」から解放され、まずは誰よりも自分を大切にしよう、自分を優先させようと思えるようになったのではないだろうか。
そして、この仕草を行っている時、人は正直になりやすく、嘘をつく可能性が低いという実験結果がある。加えてこの仕草には、見ている者に、この人を信じてあげようと思わせる効果があるともいわれる。
無意識とはいえ、この場で、この仕草をしたベッキーのタレント力はすごい。
レポーターやカメラマンは、不安を持ちながらも、前向きに頑張っていこうとするベッキーに好意的な感情を強め、素直に心から応援してあげたくなったのでは、と思う。
もし、これが計算されたものだったら…、なんて勘繰ってみたものの、そこまで彼女がしたたかだったら、「ゲスの呪い」にはひっかからなかっただろう。いや、もしひっかかったとしても、嘘と見破られてしまうような表情を、謝罪会見で見せはしなかっただろう。
とにかく、直立不動のごとく、まっすぐ手を下ろしたままの会見時と違い、手振り身振りが出てきたベッキー。手振りや手の位置は、精神的エネルギーやテンションの高さに比例する。
落ち込んでいる時や自信のない時、手はなかなか上の方にまで上がってこない。だが積極的、活動的になっている時は、手振りや仕草の位置が高くなる。
ベッキーの手も同じ。胸元まで手が上がったということは、かなり精神的エネルギーが戻ってきているんだろう。
なんとな~く追い風が吹き始めた感のある今、新しい自分に着替えたベッキーに期待できそう。