国内

大阪の「わさび大盛り寿司屋」が騒動後も盛況の理由

市場ずしはHPに謝罪文を掲載

「わさびテロ」の余波が意外なかたちで広がっている。大阪・ミナミにある「市場ずし難波店」が外国人観光客にわさびを大量に盛った寿司を出していたことが9月半ばからネット上で話題となり、差別的だと批判が殺到。同店を運営する藤井食品(大阪・茨木市)は10月2日、HPに〈海外から来られたお客様からガリやわさびの増量の要望が非常に多いため事前確認なしにサービスとして提供〉したことを認める謝罪文を掲載する騒ぎとなった。

 騒動後、同店を訪れると、店内は意外なほど賑わっていた。外国人観光客の姿はほとんどないものの、日本人客でカウンターはほぼ埋まり、常連らしき男性客が「さび抜きもらおうか」とジョークを飛ばして職人が苦笑いする場面もあった。

「このあたりの繁華街で商売をする人間では、むしろ今回の件で店側を応援する人が少なくないんですわ」

 そう話すのはミナミの飲食店関係者だ。

「たしかに勝手にわさびを増やしたのはマズいかもしれへんけど、この辺りの寿司屋の職人たちは食べる前から“わさび、わさび”と騒ぐ韓国や中国からのお客を“ネタの味がわからんようになるやろ”と複雑な気持ちで見てたんですわ」

 騒動を起こした店舗の近辺には連日、韓国や中国からの観光客を乗せたツアーバスが列をなし、「大阪の台所」と呼ばれる黒門市場や繁華街のドラッグストアに爆買い客が押し寄せる。

 そうした観光客と近隣の寿司屋の間では、以前から「わさび」を巡る緊張関係が生まれていたようだ。

「韓国やと“わさびはビタミンが豊富”と評判らしくて、回転寿司では小袋に入ったわさびを一人で10袋も20袋も使うんですわ。家庭用のチューブ入りわさびを持参して、目の前でたっぷりネタの上に乗せる強者までおる。こっちは馬鹿にされたような気分になりますわ」(大阪の回転寿司店員)、「ある寿司チェーンではわさびの消費が多くなりすぎて、店舗が本部に“もっと安い仕入れ先を探してくれないか”と泣きついていた」(別の寿司店店主)といった声が引きも切らない。

 そうした事情もあって、今回の騒動で店側の肩を持つ空気が生まれたようなのだが、藤井食品は「HPで公表した文章がすべて」とするのみで多くを語らない。消費拡大に貢献してきた爆買い客とナニワの寿司職人がうまく折り合える日は、やってくるのか。

※週刊ポスト2016年10月28日号

関連記事

トピックス

出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン