私は読書をしない子供だったが、それは読書感想文が苦痛だったことと無縁ではない。この本をこう読んでこう書きゃ点が取れるんだろ、と意識しながらする読書がおもしろいわけない。そういうとき手にしているものは本ではなく、資料と呼ぶべきだ。ネタを探すために資料にすぎず、本を読み感想を綴る行為はネタの整理でしかないのである。

 ネタ探しやネタ整理自体が悪いのではなく、そこに感動という、きっと人間にとって大事な部分をでっちあげで乗っけなければならない点がおかしい。「たかが子供」なので、その作品の特徴を作家の作品群や類書の中で客観的に位置づける、といった「書評」を求められているわけではない。その逆の主観、あくまで読んで沸きあがってきた思いを書くのが感想文なのだ。沸かなくても、沸いたふりをするのだ。

 本を読んで、気持ちが沸きあがってくることは、もちろんある。選んだ本とその時の自分のコンディションがぴったり合えば、時にその後の人生を左右するくらいの大きな感動だって、書物は我々に与えてくれるのである。

 でも、それは強制下ではめったに起きない。わりと、たまたま手にしたところ、止められなくなって夢中で朝まで読んじゃった、という読書で起きがちなのだ。そして、そういう体験をモノにした人たちは、自分の心に湧いてきたものを、誰かに伝えたくて仕方がなくなる。

 だから、みんなネット上で「レビュー」を書く。「レビュー」っていうのは、本来、上記した「書評」に近いもので、そこまで高尚でなくても、客観的に内容を紹介する文、くらいの枠があるはずだが、実際はなんでもありだ。

 アマゾンの数々のレビューを読めばわかる。あらすじだけのものから、「私の目を開かせてくれたこの出会いに乾杯!」みたいな一行ポエム、重箱の端つつき系、難癖系、小論文のつもりですか系までいろいろである。ごく稀には書評家も一目置くような名レビューだったり、文芸評論家が自ら書いていたりするものまである。

 なぜ一円にもならないのに、みんないっぱいレビューを書くのか? そんなに承認欲求に飢えているのは社会病理じゃないか……と思うこともあったのだが、それは私が間違っていた。

関連記事

トピックス

愛娘の死後、4年間沈黙を続けている俳優の神田正輝
《沙也加さんの元カレに神田正輝は…》「メディアには出続けたい」 “本音” 明かしたホスト転身・前山剛久の現在と、ヒゲを蓄えた父親が4年間貫く愛娘への静かなる想い 
NEWSポストセブン
事故現場は内閣府から約200mほどの場所だった(時事通信、右のドラレコ映像はhirofumiさん提供)
《公用車が追突するドラレコ映像》“幹部官僚2人”が乗った車両が火花を散らし…現場は内閣府からわずか200m、運転手は直前の勤務状況に「問題なし」報道【9人死傷事故】
NEWSポストセブン
英国の女優・エリザベス・ハーレイ(写真/Getty Images)
<本当に60歳なのか>英国“最強の還暦美女”が年齢を重ねるほど“露出アップ”していく背景に「現役セクシーアイコンの矜持」か…「王子に筆下ろし」の噂も一蹴 
NEWSポストセブン
発信機付きのぬいぐるみを送り被害者方を特定したとみられる大内拓実容疑者(写真右。本人SNS)
「『女はさ…(笑)』と冗談も」「初めての彼女と喜んでいたのに…」実家に“GPSぬいぐるみ”を送りアパート特定 “ストーカー魔”大内拓実容疑者とネイリスト女性の「蜜月時代」
NEWSポストセブン
女優・高橋メアリージュン(38)
《服の上からわかる“バキバキ”ボディ》高橋メアリージュン、磨き抜かれた肉体でハリウッド進出…ダークファイター映画『グラスドラゴン』でワイルドな“圧”で存在感示す
NEWSポストセブン
株式会社神戸物産が運営する焼肉食べ放題店「プレミアムカルビ」を実食!
《業務スーパー運営の神戸物産が絶好調》専属パティシエもいる焼肉店「プレミアムカルビ」肉は値段なりも実食してわかった“異色”の勝ち筋
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのリリー・フィリップス(Instagramより)
《目がギンギンだけどグッタリ》英・金髪インフルエンサー(24)が「これが“事後”よ」と“ビフォーアフター”動画を公開 地元メディアは「頼んでもない内部暴露」と批判
NEWSポストセブン
韓国の大手乳業会社「南陽乳業」創業者の孫娘であるファン・ハナ(Instagramより。現在は削除済み)
「知人にクスリを注射」「事件を起こしたら母親が裏で処理してくれる」カンボジアに逃亡した韓国“財閥一族の孫娘”が逮捕…ささやかれる“犯罪組織との関係”【高級マンションに潜伏】
NEWSポストセブン
公用車が起こした死亡事故の後部座席に高市早苗氏の側近官僚が乗っていた可能性(時事通信/共同通信)
《高市早苗氏ショック》「大物官僚2名」がグシャグシャの公用車の中に…運転手が信号無視で死亡事故起こす、内閣府は「担当者が出払っている」
NEWSポストセブン
元旦にIZAMとの離婚を発表した吉岡美穂(時事通信フォト)
《やっぱり女性としてみてもらいたい…》吉岡美穂とIZAM、SNSから消えていた指輪と夫の写真「髪をバッサリ切ってボブヘアに」見受けられていた離婚の兆候
NEWSポストセブン
稀代のコメディアン・志村けん
《志村けんさんの3億円豪邸跡地》閑静な住宅街に「カン、カン」と音が…急ピッチで工事進める建設会社は“約9000万円で売り出し中”
NEWSポストセブン
バスに戻る悠仁さま(2026年1月) 
《公務直後にゲレンデ直行》悠仁さま、サークルのスキー合宿で上級者コースを颯爽と滑走 移動のバスには警察車両がぴったりマーク、ルート上の各県警がリレー形式でしっかり警護 
女性セブン