芸能

中井貴一 僕が今でも電車に乗る理由

映画『グッドモーニングショー』に主演中の中井貴一

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、現在公開中の映画『グッドモーニングショー』にも主演する中井貴一の言葉から、「今でも電車に乗る理由」について語った言葉をお届けする。

 * * *
 1981年の映画『連合艦隊』で俳優デビューした中井貴一は、1983年の映画『父と子』で小林桂樹と父子役で共演している。

「東北地方を移動書店で回る親子という設定で、撮影は一か月ずっと東北でしていました。その間、小林さんは僕を毎夜、飯に連れていってくれたんです。その時『就職するか?』って聞かれました。当時僕も二十歳くらいで、『役者としてダメだったら就職したい』と言ったところ『それなら口を利く』と。飯を食う度にその話をされるんです。

 遠回しに『役者に向いてない』と言われてるんじゃないかと思いまして、三十日の撮影のうち、二十日過ぎたくらいには就職をお願いする気になっていました。
 
 ところが、最後に飯に連れていってもらった時、『俺はさ、貴一ちゃん。お前に役者になってもらいたい』って言うんですよ。『これからの時代はアウトローが主役をする時代になる。俺らの頃はサラリーマンが主役だった。サラリーマンがいるから、アウトローも存在できる。サラリーマンを演じられる人間がいなくなったら、アウトローも存在しない。お前には、王道を歩む俳優になってもらいたい。

 アウトローに比べ、正統派と言われる俳優は、評価はされない。でも、お前はそれを貫ける。それを貫いた時、周りのアウトローは輝ける。アウトローの時代に、みんながアウトローしかできなかったら、映画は輝けない。お互いが分をわきまえることで映画の成功はある。お前には、その道を歩んでほしい』と。

 その時、小林さんの真剣な目を初めて見ました。それまでの二十九日は、この時の振りだったんですね。その言葉で、僕は役者を続けようと決めました。

 三十歳になる頃は、小林さんの言ってくれたことをどこまで貫き通せるかやってやろうと、ずっと思ってきましたね」

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
《美女・ホテル・覚せい剤…》元レーサム会長は地元では「ヤンチャ少年」と有名 キャバ嬢・セクシー女優にもアテンダーから声がかかり…お手当「100万円超」証言
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
【独占直撃】元フジテレビアナAさんが中居正広氏側の“反論”に胸中告白「これまで聞いていた内容と違うので困惑しています…」
NEWSポストセブン
「全国赤十字大会」に出席された雅子さま(2025年5月13日、撮影/JMPA)
《愛子さまも職員として会場入り》皇后雅子さま、「全国赤十字大会」に“定番コーデ“でご出席 知性と上品さを感じさせる「ネイビー×白」のバイカラーファッション
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中、2人は
《憔悴の永野芽郁と夜の日比谷でニアミス》不倫騒動の田中圭が舞台終了後に直行した意外な帰宅先は
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
〈シ◯ブ中なわけねいだろwww〉レースクイーンにグラビア…レーサム元会長と覚醒剤で逮捕された美女共犯者・奥本美穂容疑者(32)の“輝かしい経歴”と“スピリチュアルなSNS”
NEWSポストセブン
富山県アパートで「メンズエステ」と称し、客に性的なサービスを提供したとして、富山大学の准教授・滝谷弘容疑者(49)らが逮捕(HPより)
《現役女子大生も在籍か》富山大・准教授が逮捕 月1000万円売り上げる“裏オプあり”の違法メンエス 18歳セラピストも…〈95%以上が地元の女性〉が売り
NEWSポストセブン
永野芽郁のCMについに“降板ドミノ”
《永野芽郁はゲッソリ》ついに始まった“CM降板ドミノ” ラジオ収録はスタッフが“厳戒態勢”も、懸念される「本人の憔悴」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
スタッフの対応に批判が殺到する事態に(Xより)
《“シュシュ女”ネット上の誹謗中傷は名誉毀損に》K-POPフェスで韓流ファンの怒りをかった女性スタッフに同情の声…運営会社は「勤務態度に不適切な点があった」
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(時事通信社/読者提供)
《動機は教育虐待》「3階建ての立派な豪邸にアパート経営も…」戸田佳孝容疑者(43)の“裕福な家庭環境”【東大前駅・無差別切りつけ】
NEWSポストセブン
“激太り”していた水原一平被告(AFLO/backgrid)
《またしても出頭延期》水原一平被告、気になる“妻の居場所”  昨年8月には“まさかのツーショット”も…「子どもを持ち、小さな式を挙げたい」吐露していた思い
NEWSポストセブン
露出を増やしつつある沢尻エリカ(時事通信フォト)
《過激な作品において魅力的な存在》沢尻エリカ、“半裸写真”公開で見えた映像作品復帰への道筋
週刊ポスト
憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン