国際情報

アメリカ大統領選 3回の討論会に見る両候補の心の内

トランプ氏劣勢か?  Reuters/AFLO

 経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回はいよいよ大詰めを迎えるアメリカ大統領選の二人の候補のメンタリティに注目。

 * * *
 史上最低最悪と揶揄される今回のアメリカ大統領選で、最も人気のない候補者といわれた民主党ヒラリー・クリントン前国務長官と、共和党のドナルド・トランプ氏による最後のテレビ討論会がネバダ州ラスベガスで行われた。予想以上に淡々と冷静に論争で始まったのだけれど、途中からは過去2回のテレビ討論会同様、非難合戦が繰り広げられた。

 わいせつ行為の証言が次々に上がる中、またもや暴言を吐いて“やっちゃった感”の強いトランプ氏。討論会後の世論調査の結果は、メール問題などを抱えながらも、やはりクリントン氏が優勢。そんな舌戦の立ち居振る舞いから両候補者の心の内を読んでみよう。

 選挙などで最初に目につくのは、やっぱり服装や髪形だろう。候補者のイメージ戦略が盛んに行われているアメリカでは、有権者の目にどんな風に映るのかは、選挙の行方を左右するほど重要。

 例として挙げられるのが、最初のテレビ討論会が行われた1960年の大統領選。現職の副大統領だったニクソン氏を、若手のケネディ氏が巧みなメディア戦略で破ったのだ。この時、テレビはまだ白黒。平成生まれの人には、ちょっとイメージがわかないかも…。
 
 グレーのスーツに白のシャツ、ぼけた色のネクタイとメリハリがない上に、メイクなしで疲れた顔に映ったニクソン氏に対し、濃紺のスーツに白のシャツ、赤のネクタイとコントラストをはっきりさせ、メイクをほどこし顔映りもよく新鮮で溌剌としたイメージを演出したケネディ氏。今見ても、おそらく結果は同じだろうけど、次世代のリーダーとして有権者の心を掴んだのは、もちろんケネディ氏だ。

 さて、今回の大統領選第1回目の討論会、背景は鮮やかな青。大方の予想を裏切りトランプ氏は青のネクタイに黒のスーツ。なんと、クリントン氏が赤のツーピース。

 ここ一番の勝負時には赤と思っていたので、トランプ氏が青をチョイスするとは意外。オバマ大統領が選挙戦で用いたように、新しいリーダー像として誠実で冷静沈着、頭脳明晰なイメージを印象づけたかったのだろうけれど、背景が青では冷たさや不安、憂鬱感を増幅させて逆効果。散々攻撃され続けたから、視聴者や有権者に少々、青でクールダウンしてもらいたかったのかもしれない。

 加えて1回目は座ったままの討論形式。動きがなくては、青はますますネガティブイメージを強めてしまう。そのためもあってか、健康だとアピールしていたにも関わらず、何度も鼻をすする音をマイクに拾われ、トランプ氏にとって思わぬマイナス点だったはず。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン