「文句を言うつもりはないですけど、本当にそれだけが理由なのでしょうか」と切り出したイノッチ。「それよりも、いま『本当につらい』とか『一人でどうしよう』とか不安を抱えた人たちが、どうやって生きていくかっていうことも大事なのでは」と意見した。
番組パートナーの有働由美子アナはシングル。自身のファンにもシングル女性は大勢いると思われる。イノッチ本人は07年に結婚。2児の父親でもあるのだが、「シングルの方たちが税金を払ってないわけではないですよ。たくさん払っているわけじゃないですか」とシングル女性側に立ち、「その中で、(税金が)どういうふうに回っているかというのは、これはみんなで考えなければいけないこと。誰かが得して誰かが損しているってことは一概には言えないですよね」と言い切った。
約2年前、「知られざるセクハラ」という特集のときには、「有働さんの返しがうまくて、何か言うと面白くしてくれるからといって、“縁結び”とかそういうネタのときに全部、有働さんに振るのも、僕はどうかと思うよ」と有働由美子アナを庇った。
有働アナといえば、“ワキ汗”や“なぞの号泣”などが度々話題になり、その都度、確かに彼女は絶妙のリアクションをして、その人気を上昇させてきた。
それは番組もスタッフも視聴者も知るところであり、そこをつつく“有働いじり”が“お約束”となると同時に、その部分がどんどんエスカレートしているのは事実だった。そうした際のイノッチの笑顔や優しい言葉によって彼の人気も上がり、彼自身も得をしていたというのに、イノッチは「どうかと思うよ」と切り込んだというワケだ。
そして、『あまちゃん』以降、続いている「朝ドラ受け」である。『あさイチ』では、8時15分開始のオープニングトークで、まずは連続テレビ小説のラストに触れ、感想を言い合うのがまた“パターン”となっている。
朝ドラファンの間では、「イノッチや有働さんや柳澤(秀夫)さんと感想を言い合うところまでが朝ドラ」と言う人たちも居るし、朝ドラと『あさイチ』をセットで見ている人が多いことが相乗効果になって両番組の視聴率が高いという分析もあるほどだ。
「朝ドラ受け」はタモリを始め、NOと言っている人も居るのだが、イノッチは、「ひとり暮しのおばあちゃんが朝ドラを見て、感想を言い合えないと寂しいじゃないですか」と説明。「せめてテレビに話しかけてくれたら…」と続けている。
『とと姉ちゃん』に「アカバネ電器製造」の社長として古田新太が出てきた日の『あさイチ』で、有働アナと共に「太巻さん」と言い合い喜ぶイノッチ。古田が『あまちゃん』で演じた役名がスラスラ出て来るのは、「朝ドラ受け」の真骨頂と言えよう。
イノッチは件の「シングル女性」特集の際、こんなことも言っていた。「常識は時代によって変わる。一人でも多くの人が幸せであってほしい。そっちを考えなきゃいけない」と。
V6のコンサートのMCや、リリースの際のPR動画などでも一人で9割を喋り、エピソードをわかりやすく説明したり、メンバーを漏れなくいじったりするイノッチ。昨年大晦日の『NHK紅白歌合戦』や『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)でも、出演者全員に“優しい司会”だった。
そこには、優しい人柄と、社会性と個人性のバランスがとれた人格が備わっている。
そしてイノッチ発案の「ひよこボタン」の精神が世の中に広まることを期待する。