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こうしてみると、テレワーク制度が根付かない背景には、労働者側の緊張感のなさからくる“甘え”もあるが、それ以上に会社の制度不備や理解不足もおおいに影響しているだろう。稲毛さんが指摘する。
「いちばん問題に陥りやすいケースが、始業・終業の報告体制を整備しないなど、在宅というだけで労働時間の管理をしなくてもよい、と考える場合です。労働者側にとっては、所定労働時間以上に働いても、完全歩合制で請負のような働き方を強いられるために、結局は長時間労働で低賃金になりやすい。
また、制度を設けていない会社の中には、業務に必要な設備や備品、電話代など経費の支給をまったくせず、労働者に自己負担を強いるケースが見受けられます。
明確にルール化していない中で在宅勤務を行なえば、本来の目的である仕事の効率化が図れないばかりか、上司や同僚との意思疎通が取れず、人間関係も崩れかねません」
安倍首相は先ごろ開いた「働き方改革実現会議」の中で、〈(テレワークの導入が)長時間労働を招いては本末転倒だ〉と言及したが、“在宅過労死”を生まないためにも、国としての指針を早急に示す必要があるだろう。