イスラエルの強さの秘密は、まず「家庭」にある。ユダヤ人の家庭は、何よりも教育とお金を重視する。とくに教育に関しては親の力の入れ方が半端ではなく、「知力で勝つ」という考え方が強く根付いている。
それはおそらく民族存亡の危機に直面し、国家の存立を脅かされてきた歴史の中で、頭さえ良ければ、どのような領域でも一芸に秀でてさえいれば、世界のどこでも生きていけるということを、痛いほど経験してきたからだろう。学者や研究者、ジャーナリズム、金融系、さらには音楽をはじめとする芸術の分野でユダヤ系の傑出した人材が多いのは、そうした家庭における教育重視の賜物だと思う。
もう一つの強さの秘密は「徴兵制」だ。イスラエルの場合、同国在住のユダヤ人(ユダヤ教徒)とイスラム教ドゥルーズ派教徒は、国籍に関係なく男女とも兵役義務がある。満18歳で男は3年、女は2年の兵役に服さなければならない。
ただし、とりわけ優秀な人材は前線の部隊ではなく軍事研究機関に配属され、そこでビッグデータ関連やデータマイニング技術、AIといったICTの最先端軍事技術の研究に取り組む。そして、そういう人材の中には、兵役を終えると軍で培った技術や研究成果を基に起業する者が少なくない。
投資家は彼らの会社がレベルの高い技術を有していることを知っているから、起業する際にシリコンバレーでプレゼンテーションをすると、たいがい人気を集め、すぐに資金が集まるのだ。