イスラエルとよく似ているのが台湾である。台湾も徴兵制があり、満19歳以上の男は4か月の兵役(もしくは奉仕活動)に服さなければならない。ただし、大学院でICTなどエンジニアリング関連の修士号を取得すると、兵役が免除される。だから台湾の優秀な人材は徴兵逃れのためにアメリカの大学院に進学し、シリコンバレーで起業するケースが多いのである。

 しかも、民進党の蓮舫代表の一件でわかったように台湾は二重国籍を認めているため、優秀な人材はアメリカ、カナダ、オーストラリアなどの国籍を取得し、ユダヤ人と同じく世界のどこでも生きていけるように備えている。それが中国の脅威にさらされている台湾人の「知恵」なのだ。

 そういう背景があるから台湾は、ヤフー共同創業者のジェリー・ヤン氏や半導体受託生産世界最大手TSMC(台湾集積回路製造)創業者のモーリス・チャン氏ら傑出した起業家を多数輩出し、企業も強い。周知の通り、シャープは鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下になったし、携帯電話業界の日本企業は「低価格スマートフォンの仕掛け人」とされるメディアテック詣でを余儀なくされている。

 そしてシリコンバレーでの起業人材の多さでも、人口が日本の5分の1の約2350万人でしかない台湾のほうが、はるかに上なのである。

 また、インドや旧ソ連・東欧系の優秀な人たちは、国の貧しさからアメリカに移住して、本人や子供が起業するというパターンだ。グーグルの共同創業者セルゲイ・ブリン氏は、その好例である。

 これらの国は、いずれも自国の将来に対する危機感が世界で戦っていける優秀な人材を生み出しているわけで、それに比べると、どっぷりとぬるま湯につかり続けている日本(およびその家庭)が21世紀“人材改革”の波からいかに取り残されているかわかるだろう。

※週刊ポスト2016年11月4日号

トピックス

大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉のビジネス専門学校へ入学しようと考えていたという
「『彼女がめっちゃ泣いていた』と相談を…」“背が低くておとなしい”浅香真美容疑者(32)と“ハンサムな弟”バダルさん(21)の「破局トラブル」とは《刺されたネパール人の兄が証言》
約2時間30分のインタビューで語り尽くした西岡さん
フジテレビ倍率2500倍、マンション購入6.2億円…異色の経歴を持つ元アナ西岡孝洋が明かす「フジテレビの看板を下ろしたかった」本当のワケ
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン