国内

「予告なく病院が閉鎖」医師免許なきオーナーの暴挙!

オバ記者がかかりつけ病院の閉鎖にブチギレ

 女性セブンのアラ還名物記者“オバ記者”こと野原広子、世の中の理不尽に物申す! 今回は、病院に関するお話です。

 * * *
 病院が何の予告もなく閉じる。そんな体験をした。「私がここで患者さんを診るのは、今日で最後なんです」──。気まずそうな女医の言葉の意味がすぐに理解できなかった私も、事情がわかるにつれて、「ンなバカな!」と大きな声を出していた。

 この春、引っ越しをした私は、近所のかかりつけ病院を探していた。55才を過ぎたころから朝、心臓に叩き起こされるようになり、あわてて血圧を測ると180/100。

 最近は心臓のあたりに筋肉痛のような痛みもある。いよいよ覚悟を決めて、高血圧の薬をのんだほうがいいかも…。

 で、重い腰をやっとあげて、駅の近くのごく一般的なクリニックに目星をつけた。ひと月前のことだ。ドアを開けると、受付嬢も、年輩の看護師さんも感じがいい。そして何より院長であるM女医がいい。

 40がらみで美人。スパスパと物を言うのも医者らしいし、「血圧のデータがない人に、降圧剤は処方できません」という生真面目さを見せつつ、「私は失敗しませんので。エヘッ」と首をすくめたりする。「じゃあ、次の診察までにすることを整理してみようか」と、ざっくばらんさも気に入った。

 その半月後が冒頭のシーンよ。「ぶっちゃけた話をすると、ここのオーナーが一昨日の深夜、『病院を閉鎖するので、診察は明後日までにしてください』とメールしてきて、私は解雇らしいの」と言う。

 聞けば、医師免許がなくても病院は開業できて、この病院も経営コンサルタントがオーナーだそう。

「患者数? それなりにはね。でもまあ、薬の処方とか医師としてできることとできないことがあるのよ」

 そういえば、M医師は初診の私に、降圧剤を処方しなかった。それが正しいのかどうかはわからない。だけどよ。

「突然、閉めたら困る患者さんもいるじゃない?」と言うと、「それなの!」とM医師は語気を強めた。

「仮にもここは人様の命を預かる病院よ。経営不振で病院を閉めるのは仕方ないけど、こんなひどいやり方はないですよ。『患者さんのカルテは?』と聞くと、『こちらで対応します』って、不入りのスナックを閉店するかのようなあっさりした口ぶりなの」

 いや、スナックだって客のボトルを残したまま、閉店はしないだろうに。

 こうなると、医師と患者ではない。気の合う女同士だ。ひとしきり話した後でM医師は、「でね。私の目から見て、ここはいいと思う」と、あらかじめ用意していた私の次の病院候補と、1回分のカルテを「次の先生に見せてね」と渡してくれた。

 あれから1週間たつけれど、病院のサイトには、閉鎖の「へ」の字もなく、休診だらけの「お知らせ」のみ。こんな輩(やから)に、「職業的良心ってもんがないのかい」と叫んでみても「最初からない」と返り討ちにあうのがオチ。ああ、イヤな渡世だな~。

※女性セブン2016年11月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン