◆「幸せで安らかな顔をしていた」

 りりィさんが肺がんの闘病で鴨川に戻ると、吉田は献身的に支えた。仕事の合間を見つけては車で片道3時間かけて、病室を見舞っていたという。りりィさんをデビューさせ、晩年まで親交を持っていた音楽プロデューサーの寺本幸司氏が明かす。

「亡くなる3日前にお見舞いに行った時も、JUONと吉田さんがいました。りりィの足を揉んであげたり、かいがいしく看病していましたよ。あの時、吉田さん夫婦は近くに泊まり込んでいて、3日間看病に当たっていたそうです。彼女はもう物が食べられないのですが、野菜や果物をすりつぶして凍らせたものを口に含ませてあげると、喉が爽やかになるんだそうです。驚いたのはその氷を吉田さんが手作りしていたこと。りりィ、見たこともないほど幸せで安らかな顔していました」

 亡くなる前日の10日夜も、吉田夫婦は病室に見舞いに来ていたという。いったん帰宅したが、東京に着いた直後、りりィさんの容体が急変。

「吉田さんとJUONさん、その足でタクシーに飛び乗って、深夜にUターンしてまた鴨川に戻ってきたんです。なんとか間に合って、ふたりで最期を看取ることができたといいます」(前出・知人)

 りりィさんが亡くなった翌12日、ドリカムは予定通り、マリンメッセ福岡でツアー公演をこなした。この日はJUONもギターで参加し、全25曲を熱唱した吉田。途中、MCで亡き義母に思いを馳せる一幕があった。

「昨日、JUONのお母さんであるりりィさんが亡くなりました。私も“りりたん”と呼ばせていただくくらい親しくさせていただいていました。いろんなことがあるけれども、一生懸命歌います」

 そう話す吉田の傍らで、下を向いてうつむくJUON。彼の目に、涙はなかった。

 15日、鴨川市内の葬儀場で、親族のみの密葬が行われた。参列者は40人ほど。喪服の者は少なく、ラフな普段着の人が多い。霊柩車に棺を運ぶ一行の中に、黒地のTシャツ、黒のジャケット姿の吉田がいた。傍らにはJUONが寄り添う。

 ふたりの表情に悲壮感はなく、時折、笑顔も見られた。生前の遺言で、吉田夫婦にはある願いが託されていたという。

「お墓はいらないから、火葬後は骨を鴨川の海に散骨してほしい、って。すでに地元の仲間が船をチャーターしているそうです。四十九日が済んだ後、吉田さんとJUONさんら親族で、遺骨を撒く予定だといいます」(前出・知人)

 愛する家族に見守られて、りりィは海に帰る。

※女性セブン2016年12月1日号

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