究極のコネ社会に阻まれ、将来への夢を無くした若者の間で、流行しているのが「ヘル朝鮮(チョソン)」という言葉だ。
「韓国の若者が抱く絶望的な思いを『ヘル(地獄)朝鮮』という自虐的な言葉が表わしています。2005年頃から若者の間で恋愛、結婚、出産をあきらめた『3放世代』という言葉が出現し、加えてマイホーム、人間関係をあきらめた『5放世代』、さらに夢、希望まであきらめた『7放世代』という言葉が登場しました。
圧倒的な力を持つ『甲』の前に『乙』はひれ伏すしかないという意味の『甲乙関係』という言葉も流行しています。金持ちと貧乏人、財閥と下請けを指すなど、幅広く使われています」(前川氏)
朴槿恵と崔順実の親密な関係は、「7放世代」の若者に強い怒りを呼び起こすと前出・徐氏は指摘する。
「いまの韓国は金持ちが優遇されて、限られた人たちの間でだけカネがカネを生む社会になっています。その中で朴槿恵とのコネを利用して財閥との関係を築いた崔順実や、大学の規則まで変えさせて厚遇を受けたとされる崔順実の娘に対して、韓国の若者は本当に腹を立てている。それを許した朴槿恵への怨念も大きい」
「コネ」と「財閥」という、韓国人が忌み嫌う2つの要素が絡み合う今回の事件。国民の絶望感が生んだ「恨」によって、国家元首が崖っぷちに追い込まれている。
※週刊ポスト2016年11月25日号