ライフ

減塩で17%の人が血圧上がる 無理に塩分控える必要なし

塩分摂取が高血圧に繋がるわけではない?

 現代医学においても高血圧の原因を特定するのは難しい。血圧が下がらない人の9割は本態性(原因がわからない)ともいわれている。それなのになぜ、「塩分摂取が高血圧の最大の原因」といわれるようになったのか。

 その発端は1954年。米国のルイス・ダール博士が、日本の青森を含む世界5地域で調査したところ、塩分摂取量の多い青森の高血圧発症率が高かったことから「塩分過剰が高血圧に繋がる」と唱えたことにある。白澤抗加齢医学研究所所長の白澤卓二氏が解説する。

「ダール博士の考え方は画期的だったので、またたく間に世界中に広まりました。そして1972年、米国のジョージ・メーネリー博士がラットに対して行なった実験をもとに、『毎日20~30グラム(人間でいえば厚労省の推奨値の約63倍にもなる500グラム相当)の食塩を摂取させたところ、10匹中4匹が高血圧になった』という論文を提出しました。これにより、『高血圧の犯人は塩分の過剰摂取』が世界中で信じられるようになったのです」

 それから12年後の1984年、高血圧研究の権威として知られる元名古屋市立大学教授の青木久三氏が「塩分摂取量は血圧は関係ない」と異議を唱えた。

「青木先生はメーネリー博士の実験結果を『大量の食塩を与えられたにもかかわらず、10匹中6匹も血圧が上がらなかったのはなぜか』という点に疑問を感じ、塩分の『摂取』ではなく、『排泄』と高血圧との関係性を調べました。

『薄い塩水を摂取すると、浸透圧の関係で塩分を尿として排泄できなくなる』という原理を利用して、ラットを、真水を与えるグループと塩分濃度1%の薄い塩水を与えるグループに分けて30週間観察しました。すると、真水を飲んだグループは食事でどんなに塩分を摂取しても血圧が変化しなかったのに対し、塩水を与えられたラットは血圧が上昇して死んでしまったのです。

 この結果から、青木氏は『食塩の摂取量は血圧に関係なく、高塩分でも体外に排出できれば血圧は上昇しない』としてメーネリー説を覆しました」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン