摂取する塩の「質」にも左右される。真っ白な「精製塩」より岩塩や天日塩のような色のついた「天然塩」のほうがいいと前出・白澤氏は話す。
「工業的に作られた精製塩は99.9%が塩化ナトリウム(塩分)で、他のミネラルがほとんど含まれていません。
一方、海水を元にした天然塩に含まれるミネラルの成分は、塩化ナトリウム約78%以外に、便通をよくするマグネシウムが6~9%、ナトリウムを体外に排出することで血圧を下げるカリウムが約2%含まれている。バランスよくミネラルを摂取できる天然塩は、血圧を上がりにくくすると期待されています」
これらの中でも高血圧改善の鍵を握るのがマグネシウムだ。
「健康な人の血圧が加齢によって上がるのは、血管周囲の筋肉が衰えることで血管のポンプ機能が低下し、それを補うために心臓が高い圧力で血液を送り出そうとするからです。マグネシウムには血管のポンプ機能を助ける働きがあるので、摂取すれば血圧は下がるといわれています。他にも、塩分を排出するカリウムやカルシウムも多く含まれるので、天然塩を積極的に料理に取り入れれば、血圧を下げる効果を期待できます」(同前)
精製塩を直接なめると塩気のみを感じるが、天然塩ではそれ以外の複雑な味わいが感じられる。これは、マグネシウムが旨味やコクを、カルシウムが甘味を、カリウムが酸味を感じさせるからだ。少々値は張るが、薄味で我慢してきた中高年にとって、救いの手となるかもしれない。
※週刊ポスト2016年12月2日号