ビジネス

タクシー運転手は実質定年なしの現状 暴走対策は万全か

深夜の運転は判断力も鈍ってしまいがち

 高齢ドライバーによるクルマの事故が後を絶たないが、乗客を乗せて走るタクシー運転手の高齢化も大きな問題となっている。

 11月27日、千葉県浦安市の路上で65歳のタクシー運転手が走行中に突然意識を失い、乗っていた客が後部座席から身を乗り出してハンドル操作を行なうという事故が発生した。タクシーは別のクルマや歩行者と衝突することなく、フェンスにぶつかって停止。幸い乗客は軽いケガで済んだものの、運転手は搬送先の病院で死亡した。

 65歳といえば、一般企業では定年にあたる年齢だが、タクシー業界ではまだ“現役バリバリ”でハンドルを握っている世代だ。2014年に国土交通省が発表した調査によれば、タクシー運転者の平均年齢は58.7歳で、全産業労働者の平均42.9歳と比べると15歳以上も高い。

 では、タクシー運転手に定年はないのだろうか。

「法人タクシーの事業所に就職した運転手は社員扱いなので、一般企業と同じように60~65歳を定年に定めている会社が多い。だが、定年を迎えた後でも1年更新のアルバイト(嘱託)として働ける事業所がほとんどで、運転に問題がなければ75歳程度まで働き続けられる仕事といえる」(経済誌記者)

 定年後にタクシー運転手に転職する人が多いのは、こうした門戸の広さにあるといえる。

 しかし、いくら運転に自信を持っている人でも、年齢を重ねることで、知らず知らずのうちに長時間の運転に耐えられる体力や咄嗟の判断力が衰え、大きな事故に繋がるケースが多々ある。それは乗務経験の長いプロのタクシー運転手でも例外ではない。

 東京・下町界隈を流す50代のタクシー運転手が語る。

「ウチの事業所も高齢化が進み、私より年上のドライバーはたくさんいますが、やはり年を取れば取るほど事故を起こすリスクが高まります。

 交差点での人や自転車の巻き込み事故や、視界不良の夜や雨の日の追突事故、無線呼び出しに焦ってアクセルとブレーキを踏み間違え、電柱や民家の塀に突っ込むなど、様々な事故報告を聞きます。深夜に道路上で寝ている酔っ払いに気付かずひいてしまったなんて事故もありました。

 細心の注意を払っていれば未然に防げた事故もたくさんありますが、やはり年を取るに従って判断力や認知力が鈍ってくることは確か。歩合制で過酷な勤務スタイルを強いられていることも要因だとは思いますが……」

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト