◆逆向きの「おたま」をメーカーと開発
同店の人気商品は、「ハサミ」や「カッター」「定規」などの文房具だ。
「左利きの人は定規で線を引く時、目盛りが逆向きの方が使いやすい。だから左利き用の定規は、右から左に向かって目盛りがついています。カッターは刃の向きが右利き用と逆で、左手で刃をスライドできる。替え刃も、左利き用のものを取り揃えています」
左手で持つと注ぎやすい「急須」は、外国人にも好評だという。
「海外では、左利きグッズはほとんど作られていません。だから、外国からのお客さんにも“クールジャパンだ”と言われています」
そんな海外でも作られている、数少ない左利きグッズが「万年筆」だ。欧米では、万年筆でサインする機会が多く、高級品も含めて種類が豊富なのだとか。
また、同店がメーカーに依頼して、左利きグッズを開発してもらうこともあるという。
「左利き用の『おたま』を作ってもらった時は、先端の加工を逆向きにするだけなので、意外と簡単に作れました。今考えているのは左利き用の『ノート』です。罫線を左上から右下へ傾けさせて、手が汚れないものにしたいですね」
◆「左利きの男の子に告白したい」
浦上氏のアイデアは、店舗でのお客さんとの会話から生まれている。
「実際に左利きのお客さんと話していると、何に困っているか分かる。ご本人だけでなく、『左利きの男性と結婚するので、左利き用万年筆をプレゼントしたい』という女性や、『左利きの男の子に告白したい』という女の子、『左利きの上司にプレゼントする』という会社員の方もいらっしゃいます」
“迫害”を受けている中でも、心強い味方はいるのである。
※週刊ポスト2016年12月9日号