「やっぱり、この世の中は今生きている人のものなんです。残された人が生きようと思ったら前向きでないと生きていけないんです。私なりのやり方で、何があっても前に進むことを自分に課しました」
七奈美さんと彼女の夫は新婚生活の大半を病室で過ごした。籍を入れ、新居を借りようとした矢先にがんが発覚したためだ。
それから7年、信じられないほど早く妻を失った彼は、どうしていたのだろうか。
「実はね、ずっと、私たちと暮らしていたんですよ」
彼もまたこの7年間、亡き妻を思い続け、その思い出とともに生きてきた。しかしその彼に、キャシーは「七回忌を機に勝野家を離れてほしい」ときっぱりと伝えた。去年7月のことだった。
「こうして節目の時期を迎えましたからね。まだ若い彼には、新しい恋もして、自分の人生を全うしてほしい。お姉ちゃんもそう望んでいると思って、伝えたんですよ。あの子はまじめだから、私から言ってあげないと、自分から家を出ていけないと思ったんです。だって彼の残りの長い人生を、亡くなった娘と葬ほうむるのも、おかしな話ですからね」
※女性セブン2016年12月15日号