国内

天才と呼ばれた孤高の釣り師・楠ノ瀬直樹の死に寄せて

2000年頃、青森~新潟の釣行にて雷魚を釣った楠ノ瀬直樹氏。(撮影:広中秀俊氏)

「天才」と呼ばれたひとりの釣り師の死を悼む声がネットで静かに広がっている。交流があったコラムニストのオバタカズユキ氏がその生を振り返る。

 * * *
 50年と少し生きてきて、これまで天才と呼べる3人と交流している。

 1人は、私が企画・編集役で出版した新書『国のために死ねるか』の著者、伊藤祐靖だ。伊藤は私と同学年の元海上自衛官。自衛隊初の特殊部隊の創設に携り、志半ばでの退官後は、「撃てて、潜れて、平和ぼけしない」地を求め、フィリピンのミンダナオ島に拠点を移し、特殊戦の技量を磨いていた。いまなお「日本最強」と言える人間である。

 2人目は、10年ほど前に知り合ったフレンチシェフの近藤裕。屋台や居酒屋、土木関連の仕事で金を貯めては渡仏を繰り返し、まったくの独学で料理の腕を磨いてきた。そして2007年、39歳で銀座7丁目の超一等地に2フロア70坪のグランメゾン(高級フランス料理店)をオープン。「郊外の新築10戸が買える金額」の借金を背負っての挑戦だったが、知る人ぞ知る店として富裕層の美食家らに支持され、2年後には借金を完済したと聞く(現在は千葉県で会員制の店を営業)。

 そしてもう1人は、20年ほど前に知り合ったルアーデザイナーの楠ノ瀬直樹。1960年生まれの楠ノ瀬は、ブラックバス釣りの競技を賞金制で行うバスプロ・トーナメント黎明期から選手として活躍。のちにルアー製作に専念し、数々の独創的な製品を世に出してきた。私は仕事のからまない友人として、1990年代後半から2000年代前半にかけて、毎週のように彼と釣行していた。東南アジアの漁船をチャーター、海上連泊して巨大魚釣りに興じるなど、かなり遊びほうけていたと我ながら思う。

 彼らがどのように天才なのか。説明しろと言われたら何時間でも語れる。が、今は3人のうち最後にあげた釣りの天才について記しておきたい。彼の才能に関し、その断片でいいから、より大勢の人に伝えたい。

 なぜなら、つい先日、楠ノ瀬直樹の急逝の報が入ったのだ。享年56。若い。不意の知らせに、私はずいぶん動揺した。

 彼の死を惜しむ声は、ネット上で静かに広がっている。「自分は楠ノ瀬直樹を尊敬していた」「釣りの本質を教わった」という声がいくつも拾える。ここ数年はメディア露出もなかった楠ノ瀬だ。書き込みをプリントアウトして、生前の彼に、「ほら、こんなにあなたの影響を受けた人たちがいるよ。あなたが人の心を動かしていたんだよ」と手渡したい思いだ。

トピックス

緊急入院していた木村文乃(時事通信フォト)
《女優・木村文乃(37)が緊急入院》フジ初主演ドラマの撮影延期…過密スケジュールのなかイベント急きょ欠席 所属事務所は「入院は事実です」
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
《豊田市19歳女性刺殺》「家族に紹介するほど自慢の彼女だったのに…」安藤陸人容疑者の祖母が30分間悲しみの激白「バイト先のスーパーで千愛礼さんと一緒だった」
NEWSポストセブン
女子児童の下着を撮影した動画をSNSで共有したとして逮捕された小瀬村史也容疑者
「『アニメなんか観てたら犯罪者になるぞ』と笑って酷い揶揄を…」“教師盗撮グループ”の小瀬村史也容疑者の“意外な素顔”「“ザ”がつく陽キャラでサッカー少年」【エリート男子校同級生証言】
NEWSポストセブン
2023年7月から『スシロー』のCMに出演していた笑福亭鶴瓶
《スシローCMから消えた笑福亭鶴瓶》「広告契約は6月末で満了」中居正広氏の「BBQパーティー」余波で受けた“屈辱の広告写真削除”から5カ月、激怒の契約更新拒否
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長》東洋大卒記者が卒業証明書を取ってみると…「ものの30分で受け取れた」「代理人でも申請可能」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
《フジテレビに蔓延するオンカジ問題》「死ぬ、というかもう死んでる」1億円以上をベットした敏腕プロデューサー逮捕で関係する局員らが戦々恐々 「SNS全削除」の社員も
NEWSポストセブン
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
《新歓では「ほうれん草ゲーム」にノリノリ》悠仁さま“サークル掛け持ち”のキャンパスライフ サークル側は「悠仁さま抜きのLINEグループ」などで配慮
週刊ポスト
70歳の誕生日を迎えた明石家さんま
《一時は「声が出てない」「聞き取れない」》明石家さんま、70歳の誕生日に3時間特番が放送 “限界説”はどこへ?今なお求められる背景
NEWSポストセブン
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン