A社は2010年にジャスダックに上場したベンチャー企業だ。A社のコーポレート・ガバナンス報告書(最終更新日2016年4月14日)には、〈反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及びその整備状況〉と題し、反社会的勢力とは一切の関係をもたない旨などを明記している。しかし、その報告書の〈大株主の状況〉には、10番目の大株主としてX氏の名前が堂々と掲載されていた。A社はこう説明する。

「昨年7月から12月の間に(X氏はA社の株を)9万株取得しております。今年4月20日に取引銀行より、X氏が反社会的勢力と思われる報告があり、調査を行なったところ反社会的勢力との関係性を疑わせる情報があることを確認しました。しかし、株主状況を確認したところ、当社株式を既に保有していないことを確認したことから、今後の対応は検討しておりません。

 なお、上場企業株式は市場に公開されているため、個人が自由に売買可能となっており、その証券口座の開設は各証券会社の管理のもと行なわれております」(管理部)

 つまり事前に株主の素性を把握することは困難ということになる。これでは事実上、ヤクザでも自由に売買可能ではないか。前出の伊藤氏が言う。

「暴排条例は、警察が積極的に取り締まりを行なうものではなく、“掛け声”でしかない。特に株式市場での暴力団排除は民間企業に丸投げ状態だから限界がある」

 ヤクザ株主が、いまだに市場で暗躍している可能性は大いにある。

※週刊ポスト2016年12月23日号

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