そんな幼少のころから親しんできた「パ行」は、大人になった我々の心にも楽しさを運んでくる。
江崎グリコは主力商品であるお菓子に『ポッキー』『プリッツ』『プッチンプリン』『パピコ』『カプリコ』『パナップ』『ポスカ』(ガム)と、「ぱぴぷぺぽ」を取り入れている。
その理由についての明確な説明が、グリコの公式サイトに載っていた。それは、「パピコの名前の由来はなんですか?」という質問が寄せられた際の返事に書かれている。
《ぱ行の『ぱ』『ぴ』『ぷ』『ぺ』『ぽ』は、発音が歯切れも良く、明るいイメージがあるため、当社では多くの商品に使われています》
この「ぱぴぷぺぽ」はお菓子をかじったときの音にも似ているし、可愛い響きがある。グリコ以外にも森永乳業のアイス『ピノ』、ブルボン『プチ』シリーズ、UHA味覚糖『ぷっちょ』(グミ)、東ハトの『ポテコ』、湖池屋の『ポリンキー』と、いずれも「ぱぴぷぺぽ」つまり「破裂音」が入っている。
お菓子に限らず飲食メーカーの社名も『カルピス』『ペヤング』『キューピー』『ポッカ』(現在は『ポッカサッポロ』)、車は『パッソ』『ピアッツァ』『プリウス』『ポルテ』、雑誌名も『ポップティーン』『ニコ☆プチ』『SPA!』『週刊ポスト』『SAPIO』などもある。
◇新しくも、そして実は懐かしいピコ太郎と『PPAP』
繰り返しにはなるが、このように「パピプペポ」は楽しい気持ちにさせたくれたり、可愛らしかったり、鋭かったり、躍動感があったり、そして「破裂音」というだけに、何かを打破し、変えてくれそうな音なのである。だからこそ人々は『PPAP』をこぞって歌うのかもしれない。そして、この歌は新しいようで、実は子どものころから親しんできた懐かしさをもたらす音でできている。ヘンテコだけど、口に出さずにはいられない理由はそんなところにあるのかもしれない。 (放送作家・内堀たかふみ)