ライフ

新興メーカー2社が投入の新型炊飯器には「保温機能」がない

ご飯の味革命か(写真:アフロ)

 日本の炊飯器はアジアからの観光客がお土産にするほど高性能で人気だ。そこへ新しいコメの味を提案する2つの炊飯器が登場した。従来となにが違うのか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 昨今「ダイバーシティ」というと、「企業で、人種・国籍・性・年齢を問わずに人材を活用すること」(デジタル大辞泉)というように、ビジネス文脈で使われることが多い。とりわけ、女性の登用やマイノリティの積極的な採用といった、社会性にまつわる場面でよく見聞きする言葉だ。

 すべての世界でダイバーシティは進行している。ネットインフラの充実やソーシャルメディアの発展により、世に流通する情報量は爆発的に増えた。あるカテゴリーにおいて、情報や知見が飽和するまでは「レベル」が縦方向に上がり続ける。そしてひとたび飽和するとそのエネルギーは横展開――つまり多様性へと向けられる。「食」においてもその傾向は変わらない。

 例えば飲食店で言えば、質・数ともに世界屈指の都市である東京ではもはや「うまい」のは当たり前。その上で他とどう差別化を図るかが重要になっている。もっとも単純な差別化は価格競争だが、一方でそれは自らを苦境に追い込む手法でもある。「味」で差別化は認知されるのに時間がかかる。そこで「会員制」などの業態や、「熟成」といった素材での差別化が図られるわけだ。

 外食だけではない。家庭の食卓においても同様の傾向は伺える。例えば今年は「炊飯」も多様化する。従来、炊飯器を扱う大手メーカーが打ち出していた炊飯器はどんな味を目指すのか、ぼんやりとしか伝わってない製品が多かった。

「おいしい」という表現は言わずもがな、「羽釜」もキーワードとしてよく使われていたし、「甘み」「粘り」「香り」を強調する製品も多かった。だが「甘み」「粘り」などの指標は、そもそも米の食味を分析する官能審査の判定基準でもある。少し前の高級炊飯器ブームや一部層への鍋炊きの浸透もあって、もはや「うまいごはん」は当たり前のように炊けるようになった。

 そうなるとトレンドは多様化にスライドする。そしてこの冬、図らずも2つの国内メーカーが「炊飯専用器」を新たに市場に投入する。ひとつは新たな家電を次々に市場に投入する「バルミューダ」。この数年「最高の注ぎ心地の電気ケトル」など斬新なアイテムを市場に投入し続け、昨年発売されたトースターが「感動的にトーストがうまくなる」と爆発的なヒットに。3万円と高額なトースターを10万台以上売り上げた気鋭の国内家電メーカーが、2月下旬「BALMUDA The Gohan」という炊飯器を市場に投入する。価格は4万1500円(税別)。

 そしてもう1社は、「バーミキュラ」。鋳物ホーロー鍋のメーカーである。このジャンルではフランスの「ル・クルーゼ」や「ストウブ」が有名だが、この数年、国産の鋳物ホーロー鍋メーカーとして急激にシェアを伸ばしている。この「バーミキュラ」も昨年12月、「VERMICULAR RICE POT」という炊飯専用のアイテムを市場に投入した。こちらは内釜が単体でも使える鋳物ホーロー鍋となっていて、炊飯以外の調理にも使えるIHヒーター一体型の外釜とのセットで価格は7万9800円(税別)。

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン