舞台後の集合写真は、全員揃って「えい、えい、おー!」。濃密な1か月間で熱い絆ができた


 ワークショップでは言葉の伝え方を中心に、具体的な呼吸や発声のテクニックを指導する。「言葉のアタマを意識する」「言葉のオシリには“ッ”をつける」──こうした極意を、DVDブック『西村雅彦の俳優入門 1カ月で効果が出るセリフのメソッド』にまとめた。

 出版の理由を、西村はこう語る。

「ワークショップに参加された方が、短期間に声が大きく出せるようになり、舞台でも笑顔で振る舞っている。その変化を目の当たりにして、より多くの人に共有してもらいたいと思うようになりました。こうして人に伝えることが、自分自身への戒めでもあるんです」

 回を重ね、参加者も増えた。西村一人では教えきれないため、実際の演技指導は専任講師が中心になって行なうが、西村も可能な限り、稽古に顔を出す。

「本番だけ顔を出すくらいなら、やらないほうがいいと思っています。舞台の場を借りて、世代間の縦の線が生まれるといい。他人同士が大家族になれるのが理想です」

 本番終了後は西村の言葉通り、孫を演じた少年が、舞台上と変わらぬ口調で、祖父を演じた男性に「おじいちゃん!」と呼んで駆け寄った。

●にしむら・まさひこ/1960年生まれ。富山県出身。1994年、三谷幸喜脚本のドラマ『古畑任三郎』シリーズ(フジテレビ系)で脚光を浴びる。1997年、映画『ラヂオの時間』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。同作と『マルタイの女』で、キネマ旬報賞助演男優賞、ブルーリボン賞助演男優賞、報知映画賞助演男優賞、日刊スポーツ映画大賞助演男優賞を受賞。2016年はNHK大河ドラマ『真田丸』ほか、映画『家族はつらいよ』『超高速!参勤交代リターンズ』等に出演。2012年から石川、富山、福岡、長野、山形、千葉などで演劇初心者向けのワークショップを開催。演劇で地域の活性化に取り組む。DVDブック『西村雅彦の俳優入門 1カ月で効果が出るセリフのメソッド』(飛鳥新社刊)も発売中。

■撮影/江森康之、取材・文/戸田梨恵

※週刊ポスト2017年1月27日号

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