ビジネス

「ウォール街の巨人」が日本株買いに転じた6つの理由

ウォール街のブル像も日本に狙いを定めた?

 日本経済の爆騰が始まったと見ているのは日本の投資家だけではない。世界最大の資産運用会社が、ここに来て日本株を“買い”に転じた理由とは──。

 ウォール街の巨人と呼ばれる資産運用会社ブラックロックが2016年12月、日本株に対して強気の投資判断をしたレポートが注目を集めている。5.1兆ドルの運用資金を誇る同社がグループ全体で保有するTOPIX500社の構成銘柄の評価額が約10兆7680億円に達した。これは日銀の保有する日本株に匹敵する巨額の運用額だ。

 実際、ブラックロックが5%以上の株式を保有するとして提出した「大量保有報告書」を確認すると、3大メガバンク、三井物産、伊藤忠商事、大和証券G、マツダ、ニコン、JXHDなど、日本が誇る一流企業がズラリと並ぶ。

 そんな“大株主”が日本株を「買い」に転じた理由は何か。ブラックロック・ジャパンの福島毅CIOは、日本証券新聞紙上(2016年12月19日付)で、「米金利上昇が円安を促し、輸出企業への恩恵が大きくなる。政権の安定も一因」と述べた。

 さらにブラックロックのチーフ・ストラテジストであるイザベル・マテオ氏は、同社のHPで発表したブログ(2016年12月19日)で、「Reasons to like Japanese stocks(日本株を検討すべき理由)」を具体的に6項目に分けて説明する。

■高まる円安基調

 マテオ氏が筆頭に挙げたのが円安だ。同氏は、〈日本株は円安になると上昇する傾向がある〉(マテオ氏のブログより、以下〈〉内同)とする。福島氏が指摘するように、円安になれば日本の輸出企業が潤い、株高を誘導する。マテオ氏はこう続ける。

〈円安になると外国人投資家が日本株を買い、株式市場全体が浮揚する〉

■日銀の「イールドカーブ・コントロール」と世界的なインフレ傾向

 長期金利と短期金利を操作して「ゼロ金利」を維持するために、昨年9月に導入された日銀の「イールドカーブ・コントロール」政策をマテオ氏は高く評価している。また世界的なインフレ傾向のなか、FRB(連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切れば日米の金利差が拡大すると予測する。ケイ・アセット代表の平野憲一氏もうなずく。

「今年は日銀がゼロ金利を継続する一方、米国では強気の年3回の利上げが予測されています。すると日米の金利差がさらに拡大して円安が進むでしょう」

■企業収益の持ち直し

 企業収益もポイントだ。

〈日本企業の収益は上半期の下落から上昇に転じた。GDPは依然として低迷し、国際的に見ると企業収益は相対的に低いものの、円安が企業収益を押し上げるだろう。企業収益を阻害する要因は少ない〉

 前項までに述べたように、円安基調で回復が見込まれる企業の業績は、日本株高騰の要因となる。

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン