■家計、企業のセンチメントの改善
センチメント(市場心理)の改善も大きい。
〈当社が独自に集計したビッグデータによると、消費マインドと企業マインドはともに改善しており、市場心理が好転したことを示唆する〉
平野氏が補足する。
「日本は今、異次元緩和で国内に大量の資金が投入されている。しかも安倍内閣は企業に賃金上昇を働きかけており、家計は賃金アップを期待しています。同時に企業業績の向上で、企業マインドも上向いている」
■日銀の「ETF買い」と日本企業の「自社株買い」
日銀による年間500億ドルのETF(上場投資信託)買い入れと、年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)による株式の組み込み比率の増加も高く評価した。またマテオ氏は、日本企業が自社株買いを増額したことを好感し、具体例としてNTTが発表した1500億円規模の自社株買いを挙げた。
「日銀やGPIFによる買いは株式市場を下支えします。企業が購入した自社株を消却することで市場に出回る株数が減少し、需給の関係で株高になることも期待できます」(平野氏)
■日本株が「バリュー主導」から「モメンタム主導」に変わりつつある
株式投資の手法には、企業の資産や利益などから割安に放置されている銘柄を導きだして投資する「バリュー投資」と、相場の勢いを重視して株価上昇率の大きな銘柄などに投資する「モメンタム投資」がある。マテオ氏は日本市場の潮目が変わりつつあると指摘。
〈日本の株式市場は長期にわたり、モメンタムではなくバリューが重視される唯一のグローバル市場だったが、この傾向がモメンタム主導に変わりつつある〉
平野氏が解説する。
「株に魅力がなく活性化していない市場では、割安株や配当目当てのバリュー投資が中心になる。一方で相場に勢いがあり、この先も株価が上昇する“先高感”があれば、モメンタム主導になります。マテオ氏は、日本市場が活性化し先高感が出ていると指摘している」
世界最大の投資集団は、「日本株は“買い”だ」と確信している。日本経済の「バブル元年」は、“ウォール街の巨人”もお墨付きを与えた。
※週刊ポスト2017年1月27日号